「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【直前インフォメーション】J2‐23[H] レノファ山口FC戦のポイント(18.7.15)

奈良輪雄太の献身性がどれほど大きいか。ダサい言い方になるが、最後は根性だ。

奈良輪雄太の献身性がどれほど大きいか。ダサい言い方になるが、最後は根性だ。

J2第23節、10位の東京ヴェルディ(勝点32/8勝8分6敗 得失点+6)は、3位のレノファ山口FC(勝点40/11勝7分4敗 得失点+6)と、18時から味の素スタジアムで対戦する。真夏の消耗戦において、奈良輪雄太のように走れる選手、かつブレないメンタルの持ち主は頼りになる。

■ほとんどの人の記憶には残らない

6月23日のJ2第20節の栃木SC戦、3‐0と東京Vが大きくリードし、4分のアディショナルタイムに入った。1分過ぎ、2分過ぎ、あとは終了のホイッスルを待つだけの様相。これで3連勝だなあと、僕は内心小躍りしながらノートを閉じかける。

ピッチ中央付近からこぼれたボールが、タッチラインを割ろうとしていた。そこへ誰かが猛然と走ってくる。奈良輪雄太だった。懸命のスライディングでボールを生かし、味方につなげようとした。

意味のないプレーとは言わない。周囲に対して最後まで気を抜くな、のメッセージになる。が、すでに大勢は決しており、勝利はつかんだも同然だった。そのままボールデッドになったところで、相手のスローインになるだけ。おそらく体力的にもギリギリの状況で、必要以上のがんばりは求められない。流すこともできた場面である。

奈良輪は見過ごさなかった。そのプレーが結果を左右するか、評価に値するか、そんなのは知ったこっちゃない。ただ、最後まで自分にやれることを見つけ、力を尽くす。

この人は、こうやって生きてきたのだ。さして重要ではないワンプレー。ほとんどの人の記憶には残らない献身に、サッカー選手としてのすべてが詰まっているように思え、心が小さく震えた。

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