「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【SBG探偵局】file6『若狭大志は振り向かない』(18.11.7)

「一人ひとりにチャントがあるのを当たり前のこととは思ってはいけない」と、どこまでもまじめな上福元直人。

「一人ひとりにチャントがあるのを当たり前のこととは思ってはいけない」と、どこまでもまじめな上福元直人。

■選手たちの素直な気持ち

「サポーターが選手のチャントをつくる基準はチームによって違いますよね。ある程度プレーして、周囲から活躍が認められたらというところもある。ヴェルディの場合は全選手にあって、やさしいというか、あったかいのかな」(奈良輪雄太)

「初めて、自分のチャントを歌ってもらったときはうれしかったです。ここでの1年目は名前を呼ばれるだけで、それでも充分励みになったんですが、専用のチャントは特別。めっちゃ気に入ってますよ。リズムがよくて、自分のプレーのテンポに合う」(梶川諒太)

「リズムがいいチャントだと思います」(泉澤仁)

「おれがルーキーだった頃は新加入の選手は全員なかったです。すべての選手を応援するというスタイルは、すばらしいんじゃないですか。おれのチャントが響いて、スタジアムがひとつになっている雰囲気が感じられるのはたまらないですね。原曲の『アイーダ 凱旋行進曲』はさまざまな場で使用される、サッカーの代表曲のひとつ。人のを借りているというより、もはや自分のものに感じます。テレビからあのメロディが聞こえてくると、あ、おれのチャントだと思いますから」(林陵平)

「うれしい。やる気が出る。試合前のアップのときにチャントを歌ってもらえると、やったろうかいって気になります」(森俊介)

「初めてチャントを聞いたときの感想は、おお、カッコよく仕上がってるなあと。前も話しましたけど、高校時代、ヴェルディユースと対戦して、サポーターの熱さは印象に残っていたんです。今季、移籍が決まって、これからは自分の味方になるんだと頼もしく思いました。試合前、サポーターの前に挨拶に出て、僕のチャントがその日のスタート。気持ちが一気に高まります。たしか、自分が前にいた大分も全員にチャントがあったはずです。そういうチームに縁があるのかもしれませんね。ただ、僕らはそれを当たり前のことと思ってはいけない。特別なものとして、幸せを噛みしめてプレーすべきです」(上福元直人)

探偵は手元に集めたコメントをひとまず整理し、う~むとなった。選手が味わう喜びやサポーターヘの感謝は素直な気持ちなのだろう。それはそれでいいとして、しかし、これをそっくりそのまま調査報告としたのではあまりに芸がない。

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