遠距離恋愛サポは切り捨てられてしまうのか(J論)

「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【この人を見よ!】vol.32 勇気凛々、ヨンジ色 ~MF17 李栄直~(18.11.21)

今季、カマタマーレ讃岐から加入し、現在に至る李栄直の立ち位置をいったい誰が予想できようか。
中盤の底、もしくはセンターバックでディフェンスの強化に一役買うはずが、起用されるのは攻撃的なポジションばかり。その結果、公式戦6得点(天皇杯2得点)をマークし、アディショナルタイムに3発という驚異的な土壇場力を発揮している。すっかりチームのムードメーカーに定着し、さらには火付け役の仕事を担うまでになった。
人には、自身でさえも容易に推し量ることのできない可能性がある。他者の与える、一見もっともらしい枠組み、気安く貼られたレッテルにどれほどの価値があるだろう。その気になれば、軽々と超越し、新しい自分を生み出せる。李栄直は、身をもってそのことを教えてくれる。

■だから、今日はおれじゃなかったんだ

11月17日、J2最終節のFC町田ゼルビア戦、両者譲らず1‐1で終了のホイッスルが鳴った瞬間、李栄直はすぐさまベンチに向かってすたすた歩いた。

身振り手振りで他会場の結果を聞き、J1参入プレーオフ出場の可否を確認しているようである。吉報を得た李は、唇の端を持ち上げニヤリと笑った。緊張状態から解放されたがゆえの笑みかと思われたが、どうやら違ったようだ。

「なんだ、だから今日はおれじゃなかったんだ、と。(林)陵平くんがゴールを決め、最後は自分が試合を決めてやるつもりだったんですが、そうならなかった。なぜか。この先にまだプレーオフの戦いがあるから。自分はそこでチームにとってより重要なゴールを決めるんだなと妙に納得しました」

そう語る李の気の持ちようは、心身両面で強者ぞろいのプロ選手のなかでもだいぶ特殊だ。そんなふうに物事を捉えられるからこそ、ここ一番の大事な局面で李のところにボールが飛んでくるのかもしれない。

僕は、シーズン後半のある時期から、戦術的、コンディション、いかなる理由があろうと李だけは18人のメンバーから外してはならないと考えるようになった。その理由はこれから先を読み進めていただければ、わかってもらえると思う。

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