「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【フットボール・ブレス・ユー】第38回 心の色はいつまでも ~冨樫剛一U‐18日本代表コーチ~(19.2.27)

第38回 心の色はいつまでも ~冨樫剛一U‐18日本代表コーチ~

この春から冨樫剛一強化部ダイレクターが東京ヴェルディを離れ、日本サッカー協会(JFA)ナショナルコーチングスタッフの一員となった。当面はU‐18日本代表のコーチとして活動していくことになる。

2006年、東京Vジュニアユースの監督に就いたのを皮切りに、ユース監督、トップチームのコーチや監督を歴任。地域の巡回コーチやトップのマネージャー、新人のスカウトを務めた経験もあり、これほど多方面からクラブに貢献した人物はほかにいない。

「今回のお話をいただいたのは昨年の秋頃ですね。自分としては、スペインで1年間研修し、持ち帰ったものをどうクラブに還元していくのか、ブラッシュアップして育成に生かしていくのか、みんなと話し合いながら仕事を進めているところでした」

東京Vに籍を置きながらJFAに出向の可能性も探った。だが、専任が条件だった。

「いつも自問自答していることがあるんです。サッカー界に必要とされる人間とは。指導者としてヴェルディに貢献するにはどんな能力が求められるのか。いまのままでは、もう一度トップの監督なんて誰も望まないし、僕自身も望んでいない。どこかでチームを勝たせることのできる力を持ち、相応の結果を出さなければならないのが当たり前です」

レアル・ソシエダでの研修中、2018 FIFAワールドカップ ロシアで大仕事をやってのける乾貴士(デポルティーボ・アラベス)やソシエダの女子チームにいた後藤三知、スペインに単身飛び込んで活動する若い指導者など、さまざまな人々との交流のなかで、その思いはより深まっていったという。

「要は、きちんと選ばれる人間にならなければならないということ。世界にはたくさんの指導者がいて、そのなかから決定権を持つ人が監督を決めていく。自分の持ち得る能力と実績を余すことなくプレゼンできる人が選ばれていくんです。そこで、はたして自分には何があるのか、と」

2月に行われたU‐18日本代表のスペイン遠征には、10番を背負った山本理仁を筆頭に、ユースから松橋優安と馬場晴也が参加している。冨樫は指導者として直接的な接点を持たないが、選手に関しては育成からトップまで広く共有されるのが東京Vのいいところだ。

「U‐18の世代は、2021年のU‐20ワールドカップを目指し、その先のパリ五輪で主軸となる選手たちです。日本サッカー界にとって非常に大事なミッション。自分にとってもシビアな戦いで、アジアで負けたら間違いなくクビですよ。しっかり結果を出さないとね」

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