「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【新東京書簡】第五十七信『ユースのダービーで実感、FC東京が強いわけ』後藤(19.5.15)

新東京書簡

第五十七信 ユースのダービーで実感、FC東京が強いわけ

■“らしかった”FC東京U-18と東京ヴェルディ

世間は久保建英のゴールで沸騰しているみたいなんだけど、そんなトップチームの試合がおこなわれた前の日にユースの東京ダービーがありましてね。行ってきましたよプリンスリーグ!

海江田さんが東京ヴェルディトップチームを味スタで取材しているのとほぼ同じ時間に、FC東京U-18が小平グランドに東京ヴェルディユースを迎えるかたちで開催された「高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2019 関東」第6節。これが、じつにおもしろかった。

注目された両巨頭のご対面はナシ。
メンバー表のスタッフ欄を見ると、東京ヴェルディユースの永井秀樹監督のところにだけ「◯」印がない。所要で欠席になったみたいだ。

永井さんと会えなかったFC東京U-18のチュウさんこと中村忠監督は試合後、東京ヴェルディユースのコーチを務めている保坂信之さんを称えて、こんなことを言っていた。

「保坂さんすばらしい先輩だし。やっぱり保坂さんとやると巧くなるのかな(笑)」

実際、そんな試合だった。前半終了間際にFC東京U-18が先制、1-0で折り返したものの、後半45分間は東京ヴェルディユースにほぼ一方的に押し込まれていた。

伝統というのか、集まってくる選手がそうなんだろうね、小柄できびきびと動きアイデアのありそうな業師たちがこれでもかと巧みにボールを動かして、FC東京U-18のゴール前に殺到する。対して、体格に恵まれた感のあるFC東京U-18の選手たちは、からだを投げ出してゴールを守る。そうして90分間が終わり、FC東京U-18が1-0で東京ヴェルディユースに勝った。

最後、チュウさんは「5-3-1!」と叫んでいるように聞こえた。
あとでチュウさんに訊ねてみると「はい、5-4-1。というか、ひとり走れなかったら5-3-1というか5-3-2というか。それはしょうがないです」とのことで、ひとり動けない状態での5-4-1という意味の指示だった。

全然、思い通りの試合ではないはずだ。でも結果だけを見れば、FC東京U-18が勝っている。そこは今シーズンのFC東京トップチームっぽいし、ひたむきに守るところはFC東京の伝統っぽい。対して東京ヴェルディユースは敗れはしたものの、いいサッカーをしていたことはまちがいなく、クリエイティヴィティもアイデアもある小兵が小気味よく動くスタイルは、これはこれでヴェルディらしかった。

両チームとも“らしさ”を出したナイスゲームだったと思う。育成過程でこういう経験を積むことが、今後につながっていくんだろうね。

FC東京U-18はリーグ戦の1/3を終えて4勝1敗1分の2位。負けない感じがトップに似てきた。

FC東京U-18はリーグ戦の1/3を終えて4勝1敗1分の2位。負けない感じがトップに似てきた。

■勝点を獲っていく

さて、前回の最後。海江田さんは、首位自慢をしないオレを「奥ゆかしさなのか~」と言ってくれたけど、正直、

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