「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【直前インフォメーション】J2‐23[H] 愛媛FC戦のポイント(19.7.20)

就任2日目、練習開始前リラックスした表情の永井秀樹監督。

就任2日目、練習開始前リラックスした表情の永井秀樹監督。

J2第23節、13位の東京ヴェルディ(勝点29/7勝8分7敗 得失点-1)は、18位の愛媛FC(勝点23/6勝5分11敗 得失点-7)と、19時から味の素スタジアムで対戦する。はたして、永井新体制の発進はいかに。刷新されたチームがどのような戦いを見せるか、目の離せない一戦になる。

■ヴェルディ語を話せるように

「ベースも何もない状態で、周りは知らない人たちだらけ。それで、ハイお願いしますねとチームを渡されたら、さすがに弱気の虫が顔を出すかもしれませんが、そうではないのでね。かつてのチームメイトで同い年の藤吉(信次コーチ)をはじめ、気心の知れたスタッフがいて、ここは自分の家のようなもの。ずっとヴェルディを再建したいという気持ちを持ち続けてきたのだから、今回、話をいただいたときも後ろ向きの選択はあり得なかった」

永井秀樹監督はそう語る。その口調は軽やかで、力んだところがない。

監督業は孤独と無縁ではいられない仕事だ。さまざまな決定を下し、すべての責任を負うことになる。そこで、多くの言葉を必要とせず、目と目で意思疎通できる伴走者がいるのは心強かろう。

今日の愛媛FC戦のメンバーは、藤吉コーチと協議のうえ決定するという。

「選手に求めるのは、プレーの判断を間違えないこと。そして、仲間のためにやれるかどうか。(リオネル・)メッシなら、無関係に試合で使いますよ。でも、そんな選手はいませんからね」(永井監督)

チームで用いる戦術を開示し、選手にはそこで要求する基準を示し、戦い方を形づくっていく仕事がこれから始まる。

「サッカーは正解のないスポーツ。そのうえで、自分たちがどういうサッカーをしていくのか方向性を明確にしていくのが大事。いずれは、人から『ヴェルディらしいサッカーとは何なのか?』と問われたとき、全員が同じことを言えるようにしたい」

サッカーに生きる人たちは、コミュニケーションを取るうえで、一般的な言語のほかにサッカー語を話す人種だと僕は定義している。それぞれの地域やクラブに根づくカルチャーによってさらに細分化され、ローカルな共通言語を持つ。

永井監督が指し示すのは、知識やプレーのやり方を身につけるだけではなく、本質的には「ヴェルディ語」を習得するということだ。いつまで経っても言葉の意味が通じない選手は、集団から取り残されていくだろう。

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