「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【フットボール・ブレス・ユー】第41回 東京ボーイズブラボー ~東京ヴェルディユース 2019 深緑~(19.7.24)

守備の要であり、攻撃の起点にもなれる馬場晴也(3年)。

守備の要であり、攻撃の起点にもなれる馬場晴也(3年)。

最終ラインを統率する、センターバックの馬場晴也(3年)に訊いた。永井監督が口ぐせのように言う「相手を見る」とは、パスをつなぎながら隙間を少しずつ広げ、最終的に縦にいける瞬間を見逃すなということに集約されるのか。

「それもそうですし、基本的には数的優位をつくるということ。サイドにボールを持っていったら、相手が何人きているのかをきちんと把握する。人数が多ければ、ほかのところが空いているはずなので、そっちに素早くボールを動かすというやり方です」

エースの栗原イブラヒムジュニア、望月ヘンリー海輝などアスリート能力の高いプレーヤーを擁す三菱養和に対し、馬場は空中戦、地上戦ともに優れたディフェンスを見せている。

「イブラヒムジュニア選手をはじめ、相手の攻撃の核をつぶす仕事はできたと思います。この先は自分にしかない絶対的な特長を身につけ、さらに前の選手をコントロールしてチームとして点を取れるようになりたい」

同期の山本理仁はひと足早くトップに昇格し、チームにおける重要性を日を追うごとに高めている。

「あいつとは仲がいいですけど、先を越されてるのはやっぱ悔しい。いまの僕の立ち位置は、世界的にはもちろん、国内でも遅れているほう。同い年で活躍している選手はいくらでもいますからね。もっとレベルを上げていかなければ」

永井監督は三菱養和戦を振り返り、こう語った。

「まあまあといったところですかね。サッカーは相手のあるチームスポーツですから、向こうの動き方を見てプレーを選択していくのが大事。最後の最後、見ることができるのか、できないのか。ちゃんと見えていれば、点は取れる」

一方、守備のリスク管理はどのような考え方を持っているのか。

「主導権を握り、徹底して相手にサッカーをやらせないというのがひとつ。ただ、それだけではないですね。ボールを失った瞬間の『5.5』、5秒5メートルは全力で奪い返しにいくのはチームで共有しています。それでカウンターを受ける危険はかなり軽減される。よく攻守の切り替えを早くと言いますけど、現役時代からあれには違和感があったんですよ。いくかどうかはそのときのシチュエーションによって判断すべきだろうと。無理やり動いて、むざむざ相手の罠にハマることはない。『5.5』を仕掛け、さらに追撃するか、一旦下がるかは敵味方の状況次第です」

そして、永井監督は自販機で飲み物を買う選手を見つけて言った。

「あいつにも話を聞いておいたほうがいいんじゃないですか。おい、大雅!」

三菱養和戦、石浦はPK奪取につながるラストパスを含めて4得点に絡む大活躍だった。「あのゲームのパフォーマンスを評価するなら70点といったところでしょう。ポテンシャルが高く、期待は大きいだけに、ね」と永井監督。石浦にそのまま伝えたところ、「自己評価はもっと低いです。60点あるかないか」と、図に乗る心配は無用の様子である。

「ボールを回しながら、攻撃に自分の色をつけられるように。点に絡むことにおいて、一番の選手になりたいです。アシストだけではなく、自分でもゴールを奪えるようにならないと」

すでにトップのトレーニングマッチに出場し、大人のサッカーの肌感覚を持ち帰っている。

「自分にボールが入ればやれる手応えはあったんですが、フィジカルの勝負で負けたり、パスを受けられる回数自体が少なかった。プレーのスピード感も違いました。練習試合の翌日がきつかったですね。身体にダメージが残った」

いまのところ石浦の眼中にあるのは、トップ昇格のみ。線の細さは否めないが、先々が楽しみなレフティである。

 

石浦大雅(3年)は創造性豊かなプレーを連発した。

石浦大雅(3年)は創造性豊かなプレーを連発した。

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