「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【マッチレポート】J2-24[H] FC町田ゼルビア戦『前途洋々』(19.7.28)

『エムールDAY。これが汗だく枕投げじゃい』2019.7.27

『エムールDAY。これが汗だく枕投げじゃい』2019.7.27

2019年7月27日(土)
J2第24節 東京ヴェルディ vs FC町田ゼルビア
19:03キックオフ 味の素スタジアム
[入場者数]5,603人 [天候]晴、弱風、気温27.4℃、湿度78%

東京V 1‐0 町田
前半:1‐0
後半:0‐0
[得点]
1‐0 オウンゴール(41分)

●東京Vスターティングメンバー
GK21 上福元直人
DF17 李栄直
DF20 山本理仁(85分 奈良輪)
DF5   平智広
MF19 小池純輝
MF6   井上潮音
MF7   渡辺皓太
MF22 永田拓也
FW4   藤本寛也
FW9   佐藤優平(65分 梶川)
FW10 レアンドロ(62分 森田)
(ベンチメンバー:GK1柴崎貴広。MF8内田達也、14澤井直人、16森田晃樹、24奈良輪雄太、38梶川諒太。FW18端戸仁)

監督 永井秀樹

試合データなど(東京ヴェルディ オフィシャルサイト)

■永井体制、連勝スタート

予想外の連勝だ。

試合が終わったピッチでは、永井秀樹監督が一人ひとりと握手を交わしながら労をねぎらっていた。僕は軽い足取りで階段を降り、スタジアム内部へと通じるメインスタンドのドアを開ける。冷房の効いた涼しい空気が流れ込んできた。ヒーローインタビューを受ける井上潮音が「勝ったことはよかったですけど、僕たちのやりたいサッカーはまだまだこんなもんではないので」と話すのを背中で聞き、それで連勝なのだからなおさらたいしたものだと思う。

17日、永井監督の就任が決まった際の所感は、当分結果を出すのに苦労するだろうし、場合によっては酷い負け方をすることもあるだろう、というものだった。是々非々で対応しつつも、先を見据えてどのように論陣を張るか備えるべし。そう考えたのには理由がある。

2017年から東京ヴェルディユースで見せた永井サッカーの緻密さは、いかにも急ごしらえには向かないやり方だ。緻密であるがゆえに、いったん崩れだすと収拾がつかなくなる弱点を内包する。そこで、キーマンとなる理解者が何人かいたところで、ろくに準備期間のない状況でどこまで形にできるか。もし、目の前の結果欲しさに柔軟性とはき違えた中途半端さを見せようものなら、それは強い毒となってチームを蝕む。

しかも、トップの指導経験がなく、仕事上の多くが未知の領域である。ルーキー監督に簡単に勝点を拾わせてくれるほどJ2は甘くない。

なぜ、こうも見事な好発進を決めることができたのか。永井監督の教え子のひとりである森田晃樹はこう語った。

「自分たちでこういうサッカーをやろうという明確なものがある。だから、うまくいかないときに好転させるための修正点もはっきりしています。それを話し合ってやれている部分が大きい」

むろん、そうした試みはこれまでもあった。勝つために、選手間で考えを取りまとめざるを得なかったと言ったほうが正しい。おそらく、話し合いにおける方向性、射程の長さが根本的に違う。そこに、永井監督はある種の飢えを感じ取っていたのかもしれない。

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