「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【マッチレポート】J2-26[A] 京都サンガF.C.戦『大敗の覚悟はあったけれども』(19.8.5)

『日本におけるホペイロの草分け的存在、松浦紀典さん。試合前、永井秀樹監督っと会い、「なんか不思議な感じだね」と笑い合ったそうな』2019.8.4

『日本におけるホペイロの草分け的存在、松浦紀典さん。試合前、永井秀樹監督と会い、「なんか不思議な感じだね」と笑い合ったそうな』2019.8.4

2019年8月4日(日)
J2第26節 京都サンガF.C. vs 東京ヴェルディ
18:03キックオフ たけびしスタジアム京都
[入場者数]8,845人 [天候]晴、中風、気温33.3℃、湿度38%

京都 4‐0 東京V
前半:3‐0
後半:1‐0
[得点]
1‐0 一美和成(16分)
2‐0 ジュニーニョ(17分)
3‐0 一美和成(26分)
4‐0 宮吉拓実(48分)

●東京Vスターティングメンバー
GK21 上福元直人
DF24 奈良輪雄太
DF17 李栄直(46分* 澤井)
DF5   平智広(46分* 内田)
DF20 山本理仁
MF6   井上潮音
MF7   渡辺皓太
MF9   佐藤優平
FW19 小池純輝
FW38 梶川諒太
FW10 レアンドロ(62分 端戸)
(ベンチメンバー:GK1柴崎貴広。DF22永田拓也。MF8内田達也、14澤井直人、16森田晃樹、33河野広貴。FW18端戸仁)

監督 永井秀樹

試合データなど(東京ヴェルディ オフィシャルサイト)

■禁じ手のそこになかったもの

「批評とは、そこにあるものだけを徹底的に見つめ、自らの考えを明らかにしていく行為である」と言ったのは誰だったか。

京都サンガF.C.戦の翌日、家に戻った僕が最初にしたのは本棚の前に座り込み、出典を捜索することだった。ところが、これがおおいに難航。心当たりのあった『井上ひさし全選評』(白水社)、本田靖春の『我、拗ね者として生涯を閉ず』(講談社)、後藤正治の『探訪 名ノンフィクション』(中央公論新社)にも記述が見つからない。このへんであるのは間違いないはずなのだが、とうとうたどり着けずにギブアップした。

正確な引用ができなくて申し訳ないが、大筋では合っている。とにかく、僕はそれを胸に深く刻み、この仕事における戒めとしてきたのだ。

要は、欠落をあげつらって、何かを言ったような気になるのは愚の骨頂。だいたい、これを言い出したら際限がなくなる。戦力が足りないからに始まり、監督の実績不足、強化担当の能力不足、経営トップの人事に問題ありとなって、行きつく先は、このチームにはメッシがいない、だから、負けたんだ。論理的にはこの極論と何ら変わらない。「ひと粒の砂だろうと、大きな岩だろうと、水に沈むことは同じ」。こちらの出典は明示できる。韓国クライムサスペンス映画の傑作『オールド・ボーイ』だ。

もちろん書くものによっては、そういった事柄への言及が必要になるケースも出てくるが、少なくともマッチレポートでは極力排除すべし。たとえば、ある選手のパフォーマンスの低さについて述べる場合、サイズやスピードなど先天的な要素の足りなさを指摘しても、書かれたほうは釈然としないだろう。そこで見せてもらったものがすべてと受け取り、形にしていくのが僕の仕事だ。

ただし、一般的な評論と違ってサッカーは相手があるものだから、両者の差によって問題点が浮き彫りとなり、そこになかったものに着目せざるを得ないケースがある。今回がそうだった。

監督会見で、僕は永井秀樹監督に次のことを訊ねている。

前線に打ち込まれるくさびのパス、背後から強い圧力を受けるレアンドロがほとんど前を向かせてもらえなかったのに対し、2得点をマークし、京都の前線の核となった一美和成はすっとターンできる場面が目立った。

京都のほうが守備の強度が明らかに高く、そのため東京Vの選手は苦しい姿勢でのプレーを強いられた。前半で交代となった李栄直のパスはたしかに安定を欠いたが、視野を狭められキックの体勢が悪かったのがその一因と見受けられる。

現状、ほかに重視することがあるのか、それともこの点についてトレーニングで改善していくつもりはあるのか、と。

「自分の目指す攻撃的なスタイルというのが走りがちですが、攻撃と守備は一心同体。守備をおろそかにしているわけではありません。今日に関しても、くさびのパスを多く入れてくる相手のやり方に対し、われわれも準備をしてきたつもりです。たしかに守備の強度であったり、予測、判断のスピードの差はまだまだ改善しなければいけない」(永井監督)

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