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「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【この人を見よ!】vol.39 プロ初ゴール、その後 ~MF6 井上潮音~(19.11.7)

プロ4年目、ついに初ゴールの呪縛から解き放たれた。目立った故障もなくピッチに立ち続け、シーズンの中頃にはレギュラーの座を確固たるものにした。今季の出場数は初の30試合超えだ。特に守備での貢献は進境著しい。
井上潮音、22歳。おおいなる飛躍への助走となるはずだったが、シーズンの終わりが近づくにつれ、その勢いに陰りが見える。そこにあるのは、選手としてどうありたいのかという根源的な問いだ。新たなテーマに直面したいまこそ、キャリアにおけるマイルストーンとなるかもしれない。

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■初ゴールを祝福する無数の手

待望されたプロ初得点が、まさかあのような形とは一片も想像しなかった。

6月30日のJ2第20節、FC岐阜とのアウェーゲーム(2‐1○)。1点ビハインドで迎えた44分、端戸仁が倒されて得たPKのチャンス、ボールを手に持ったのは井上潮音だった。ゴールを決めたことのない選手が自らキッカーを買って出、そこで受けるプレッシャーはいかばかりか。もし失敗しようものなら、チームと自身にとってダメージは計り知れない。

その懸念をよそに、井上はいたって落ち着いた挙動でゴール右上にシュートを突き刺す。キーパーも同じ方向に跳んだが、相手の反応を上回る強いキックだった。

このときは敵地で目撃者は多くない。今度は多くのサポーターに届けたいとばかりに、次節のホーム、横浜FC戦でも井上はミドルシュートを決める。すでに攻守両面において欠かせないピースとなっており、さらにはゴールという数字までついてきた。順風を背に受け、帆は大きくふくらんだ。

ルーキーイヤーの2016シーズン、中盤の底で井上とコンビを組んだのは中後雅喜(現東京ヴェルディユースコーチ)である。展開力に長ける経験豊かなベテランと、軽やかなターンで相手をはがし、ボールを運べる気鋭の若手との組み合わせは、じつに理にかなったマッチングだったと記憶する。

中後は言う。

「最初に目を引いたのは、インサイドキックの精度の高さ。どんな試合でも落ち着いて技術を出せるメンタリティも印象的でした。ミスが少なく、相手のいやがるプレーを自然にできる選手だなと」

むろん、十代の選手であり課題はあった。

「ゴールに近いエリアでの仕事、つまり得点に絡む部分。この先はミドルを打ったり、ボックスに入っていく動きがより重要になっていくだろうと見ていました。時間はかかりましたが、ひとまずゴールを決められてよかったですね。PKではあったけれど、あいつがどうしても点を取るんだという意欲を見せてくれたのがうれしい」

中後は活躍に目を細めるひとりで、これまでの歩みを知るかつてのチームメイト、クラブスタッフ、サポーター、家族、友人など、井上を祝福する無数の手が見えた。

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