「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【フットボール・ブレス・ユー】第47回 18人いる ~東京ヴェルディユース 2019 小春~(19.12.21)

ボールをぐいぐい運ぶ石浦大雅(3年)。先制点をアシスト。

ボールをぐいぐい運ぶ石浦大雅(3年)。先制点をアシスト。

山下柊飛(3年)は1年次から起用され、この世代の中心を担ったひとりだ。

山下柊飛(3年)は1年次から起用され、この世代の中心を担ったひとりだ。

これより先、東京Vユースを巣立つ選手たちは、プロの世界に飛び込む者と大学サッカーで力をつける者、主に二手に分かれる

後者の道に進む石川は言った。

「僕はジュニアユースから6年間、お世話になりました。最後はいいサッカーで終われてよかった。トップに昇格する5人は最大の刺激。あいつらに負けないように大学で成長するつもりです。個人で何ができるかという部分で、同じ中盤の理仁やジョエル(藤田)、大雅には、やはり自分は劣っていると感じます。それを身につけるための今後4年間にしたい」

山下柊飛(3年)もまた、大学サッカーでさらなる成長を期すひとりだ。

「6年間、楽しかったですね。毎日がずっと楽しかった。これから大学でもっといい選手になれるように努力したい。ひとつは守備の部分。自分で言うのもヘンなんですが、よく走ってがんばっていると言われることが多い。けれども、大事なところで質が足りてないのは自分が一番よくわかっています。トップに上がる5人は……近いようで遠い存在。たとえば、ジョエルがいるといないのでは、練習の雰囲気からして全然違う。自分もそういう選手になっていかなければと思います」

7月、永井秀樹監督がトップの指揮官に就き、それまでジュニアユースを指導していた中後コーチが途中からチームを預かることになった。永井色の浸透したクセの強いサッカーをするだけに、さぞかし難しい仕事だったに違いない。

「このサッカーに関しては、自分より選手の理解度のほうが高い。大きく変えることなく、うまく継続できるようにアシストする指導を心がけました。ただし、最後の部分、点を取るということに関しては僕も思うところがあったんでね。相手を見る。ドリブルを仕掛ける。パスをつなぐ。その先にある一番重要なゴールの部分。決め切るという課題に対しては、気づいたことを選手に伝えています」(中後コーチ)

かつての中後雅喜は中盤の底に位置し、攻守両面を見るバランス感覚に長けたプレーヤーだった。指導者でもその特性が生きるのなら、いい塩梅になるポイントを見つけられるかもしれない。

「永井さんがトップでやるサッカーを意識し、つなげていくのは欠かせない要素のひとつ。さらに、いかに相手の急所を突けるか。いやな場所に入っていく恐い選手になれるか。ゴールに向かっていく姿勢を出せるか。といった事柄がカギになってきますね」

来季より本格的に中後コーチのカラーが打ち出され、それがトップのサッカーとどのように連動するか。発揮される手腕に注目が集まる。

 

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