「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【トピックス】短期集中連載『永井秀樹、あの日、あのとき』Scene3(20.4.26)

Scene3.Summer 1993

■どうだ、おれたちが一番だ

東京都稲城市、よみうりランド――。

1993年5月15日、Jリーグが華々しく幕を開ける。国立競技場でのオープニングゲームは、JSL時代から伝統の一戦であるヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)対横浜マリノス(現横浜F・マリノス)。試合は、V川崎がヘニー・マイヤーのJリーグ第1号ゴールで先制したが、1-2の逆転負けを喫している。

サントリーシリーズ(1stステージ)、V川崎は序盤のもたつきが響いて2位。捲土重来を期し、7月24日にスタートするニコスシリーズ(2ndステージ)に臨んだ。ところが、三浦知良、ラモス瑠偉、北澤豪、武田修宏らスター軍団のまとめ役である柱谷哲二がB型肝炎により戦線離脱。守備の要、ペレイラも横浜フリューゲルス戦で反町康治と激しく交錯し、故障した。そこで、サテライトでくすぶっていた冨樫剛一と西澤淳二に声がかかった。

前年、冨樫は右ひざの前十字靭帯断裂より、丸一年を棒に振っていた。日本は空前のサッカーブームに沸いていたが、自身は蚊帳の外。クラブ側からは、言葉にしないまでも契約してもらっただけありがたく思え、といった扱いである。緊急措置とはいえトップの一員に加わることができ、奮い立たないはずがない。

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