「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【トピックス】短期集中連載『永井秀樹、あの日、あのとき』Scene4(20.5.5)

Scene4.February 14, 1994

■うず高く積まれたチョコレートの山

東京都稲城市よみうりランド――。

クラブハウスに横づけされた、2台の4tトラック。配達員に手によってダンボール箱が運び込まれ、2階の会議室に次々と積み上げられていく。ふだんはチームのミーティングで使用されている、最も大きな部屋だ。本来、このような用途は想定されていないが、大量の配達物を置ける場所がここ以外に見当たらなかった。

1994年2月14日、バレンタインデーである。すなわち、中身はすべてカラフルにラッピングされたチョコレートだ。

うず高く積まれたダンボール山脈を前に、さて、どうしたものかと立ち尽くす者がいた。広報部の尾崎晶子である。Jリーグブームの真っただ中の1993年9月に入社し、半年間、嵐のような日々を送ってきた。

(残り 1423文字/全文: 1775文字)

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