「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【トピックス】『新人だった!』〈3〉 奈良輪雄太編(20.5.17)

『新人だった!』第3回は、抜群の運動量と献身的なプレーでチームを支える奈良輪雄太選手です。横浜F・マリノスユース出身の奈良輪選手は、筑波大を経て、2010年、当時JFLのSAGAWA SHIGA FC(佐川急便の社会人チーム。2012シーズンをもって活動停止)に加入します。
いまも昔も、生き方の根本を支えるのは強靭な意志。新型コロナウイルスの影響を受け、目標を見失いがちな日々にあっても、「だらだらして過ごしちゃった日は一日もないですね。性格的にだらだらできないんで。自分でルールを決め、そのとおりに身体を動かさないと気持ち悪い。朝イチのランニングをはじめ、やると決めたスケジュールを実行すれば、だらける時間はない」と言い、さすがだなあと感心させられるとともに、こちらは身の縮む思いです。

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僕は、大学4年間で力をつけ、Jリーグにいく目標を立てていたんですが、残念ながら達成できなかったんです。卒業を控え、ここでサッカーを辞めるか、それとも続けるかという岐路に立ち、考えた末、SAGAWA SHIGA FCでお世話になることに決めました。

それでも一応、サッカー選手として収入を得られたので、責任感と充実感は感じましたね。報酬の面では、一般の大卒初任給の平均よりは高かったと思います。基本はサッカーだけですが、社員契約という立場上、隔週か週に1回、荷物運びの作業がありました。

SAGAWAが拠点を置くのは、滋賀県守山市。琵琶湖沿いにあり、京都、大阪といった都心にも近く、暮らしやすい街でした。10年前は田舎っぽさがあったんですけれど、ここ数年でどんどん人が流れ込み、新しいビルが建って発展している様子です。

トレーニングの環境面はよかったですよ。専用グラウンドとジムの設備があり、ひょっとするとJ2の下のクラブより整っていたのでは。恵まれた環境で、サッカーに集中することができました。

チームメイトは関西人と自分のように関東からきた人が半々くらい。カルチャーショックみたいなのはあったかな……。土地が変われば、人との接し方はこんなに違うんだというのは感じましたね。関西人がイジってくるとき、彼らは愛のあるイジりだと言うんですけど、関東の人間からはどう見てもけなしてるだけとしか思えない。そのへんの違和感はなかなか慣れなかったです。

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