「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【トピックス】特集『新マスコット リヴェルン誕生秘話』前編(20.8.10)

始祖著がモチーフとは思えない、この無邪気さ。   ©TOKYO VERDY

始祖鳥がモチーフとは思えない、この無邪気さよ。   ©TOKYO VERDY

■舵取り役であるプロデューサーの仕事

プロジェクトで定義したキャラクターづくりの要件は、「主要ターゲットは幼稚園から小学3年生くらいの男の子。クラブのシンボルである始祖鳥をモチーフとする。コンドルをモチーフとしたヴェルディ君との関係性もストーリーとして設計する。その上で新しいクラブの顔として登場に至る経緯や背景を含めてストーリーだけでなく、マーケティング面も含めたローンチプランまで含めてプロデュースをしてもらいたい」というものだった。

それら手持ちの材料から設定を考え、ストーリーを構築し、キャラクターデザインを行うデザイナーの人選も含め、ひとつの像を結ぶまで持っていくのがプロデューサーの仕事である。

「ストーリーを考えると同時に、その年代の子どもたちに人気のキャラクターを調べ、共通した魅力を抽出する作業を行いました。代表的なところで、ドラえもんやピカチュウ、鬼太郎などですね。ゆるキャラとして流行った、ふなっしーやちぃたんも参考にしています。見た目はかわいく、性格はポジティブでリアクションがいい。色味は明るく、フォルムは丸みがあり、思わず触れたくなる柔らかさを持っている」(岩野さん)

このあたりは徹底的に理詰めだ。地道なリサーチを経て、ロジックに裏打ちされた骨格部分を必要とする。アカツキが得意とするロジックと直感的な感性を両立させる、コンテンツづくりのノウハウがふんだんに注ぎ込まれている。

「ポイントを押えて、かつ子どもたちに向けてキャッチーなキャラを描けそうな方は誰か。そこで頭に浮かんだのが、以前一緒にお仕事をしたことがある、ちょぼらうにょぽみさんでした」

ちょぼらうにょぽみさん(以下、ちょぼさん)は、『不思議なソメラちゃん』(一迅社)、『あいまいみー』(竹書房)、『弱酸性ミリオンアーサー』(スクウェア・エニックス)などの作品がある漫画家である。

岩野さんはFCバルセロナのファンで、ちょぼさんはレアル・マドリードのファン。仕事以外に、欧州サッカーの話で盛り上がる仲でもあった。

「絵柄がキャッチーで、いい意味で記号化できるデザインをされる方。キャラクターの雰囲気がいいんですよ。狂気的世界観のギャグで笑わせる一方で、時折見せるほんわかした雰囲気がユニークで癒される。お子さんがいらっしゃるので、子どもにウケるポイントも掴んでいるでしょう。ちょぼさんがヴェルディのマスコットをデザインしたら面白いんじゃないかと、提案させていただきました」(岩野さん)

東京Vの了承を速やかに得て、実際にオファーしたのが2019年の暮れである。

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