「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【トピックス】連載『中根玄暉 新米サッカーコーチの日常』〈7〉(20.8.26)

散水に逃げまどう子どもたち。夏だなあ。

散水に逃げまどう子どもたち。夏だなあ。

■人が集まることで成り立つ商売

8月7日(金)
「れもねゑど」という移動販売店が自宅近くへやって来るという情報を昨夜聞き入れた。炎天下での練習が終了。冷えた飲み物を喉が欲す。友の店を覗きたくなった。自信と少々の不安が入り混じった表情で店頭に立っている。久々の再会で話が弾む。友は辺りを見渡しながら会話のパス交換をしていく。
何人の選手がグラウンドに現れるか。練習開始前の僕は不安で不安でしょうがない。門前を数秒に一度は確認してしまう。このときの僕の心内と辺りを見渡す彼の心内は恐らく似通っている。
人が集まることで成り立つ互いの商売。人間味溢れる君の元には自然と人集りができるから大丈夫さ。

8月10日(月)
ユニフォームへ着替える表情が冴えない。ネガティブな心内が透けて見える。
昨日の失点に直結したミスを引きずったままグラウンドに来たよう。声をかける。本人はミスの原因をわかっていなかった。こんな時はコーチがミスの原因を伝え、修正を加えるべきである。だが、中根コーチはどの技術アクションにエラーがあったのかわかっていなかった。精神的なアドバイスに終始した。
育成年代にGKコーチが存在しないチームはたくさんある。僕のようにGKのミスを修正できないフィールドのコーチはごまんといる。犠牲になるのは選手。あらためて、GKを知ることでしか彼らを救えないと心に誓う瞬間。

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