「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【トピックス】連載『中根玄暉 新米サッカーコーチの日常』〈14・了〉(21.3.24)

中根玄暉のサッカーコーチ道はこれからも続く。

中根玄暉と子どもたちの物語はこれからも続く。

■コーチとスカウティングと営業と

3月4日(木)
自宅から1時間。青梅の夜。冷え込んでいる。ここは東京の中でもグッと寒い気がする。
お目当ての選手を観にスカウティングにやってきた。既に練習参加を打診しているが、コロナの影響でままならない。いつになることやら。彼はマンチェスターシティのリヤド・マフレズのようだ。例えがマニアックすぎるか。いや普通か。分からない。とにかく凄いプレーが見られた。
ウキウキの帰り道。きっと僕はこの選手を1年間追い続けるのだと思う。いや待て。齋藤芳行監督に観てもらってからだ。

3月14日(日)
サッカーくじのtotoにハマっている。13試合中8試合が外れというかすりもしない結果だったが、父もやっているので父との会話のネタにはなる。
担当している緑山SCの4年生の練習試合。成長が見られる試合だった。僕は試合中、外からガーガー言う方で、少しオーバーに言えばリカルド・ロドリゲス監督のような感じか。オーバーすぎるか。僕が黙ると静かなピッチなのが毎回のこと。だが、この前の試合も今日の試合もほぼノーコーチングである。
「今日コーチ静かだね。もっと声出して」と選手から言われる始末。自分たちで声を出し、自主的にプレーし始めた選手達。「そうか~?」と返す。
もうその必要がなくなってきたからだよと心の中で返した。僕は喜びに満ち溢れていた。

3月17日(水)
今日はこれとこれをしなければ。がちがちにトレーニング内容を決めていった。練習が始まり5分ぐらいか。今日はこれとこれもできないと悟った。
みんな寝起きのような始まりのミニゲームの出来。その背景にあるものを探る。疲れていたり、学校で友達と上手くいかないことがあったり、何か嫌なことがあったりしたのだろう。小学生はその日の感情をグラウンドに持ち込み、そのままプレーに表れることが多々ある。小学生を指導する者には少なからず柔軟性が必要なのだと思う。
ミニゲームを選手とプレーしながらぐるぐると頭が回る。次どうしようか。少々の休みを入れながらミニゲームを1時間半続けた。何が正解だったのだろう。

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