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【無料記事】【フットボール・ブレス・ユー】第54回 大空と大地の希望 ~北海道十勝スカイアース 渋谷亮コーチ~(21.8.4)

第54回 大空と大地の希望 ~北海道十勝スカイアース 渋谷亮コーチ~

松山千春の『大空と大地の中で』が大音量で流れ、選手たちがピッチに入ってくる。7月31日、「藤川孝幸スペシャルサンクスマッチ」と銘打たれた一戦。北海道十勝スカイアースと東京ヴェルディのトレーニングマッチが始まろうとしていた。

入場曲は気分を盛り上げるアップテンポな曲調と相場が決まっているが、北の大地をイメージさせるスタンダードナンバーとは。「対戦チームは調子が狂うと言いますね」と笑うのは、スカイアースの渋谷亮コーチである。

東京Vでプロのキャリアを歩み始めた渋谷は、2020シーズンをもって現役を退き、指導者の道へ。ここ十勝で4年目の夏を迎えている。

北海道の大自然とそこで生きる人々を歌い上げた不朽の名曲にこだわるのには理由があった。帯広市を中心とする1市16町2村を総称した十勝エリア。松山は、そのひとつ足寄町の生んだスターだ。大空(スカイ)と大地(アース)のクラブ名はここに由来する。

トレーニングマッチとはいえ、十勝にとっては地元に初めてJクラブを迎えたゲームである。7月29日から東京Vが芽室町でミニキャンプを実施したことにより実現した。

永井秀樹監督は言う。

「候補地は3つくらい挙がり、最終的にはここしかないと決めました。藤川さんが命懸けで仕事をした十勝でやるのが一番だろうと。読売クラブ、ヴェルディ川崎時代の藤川さんは都並(敏史)さんとともに初代宴会部長。あの頃、とてもかわいがってもらいましたね。2代目を継いだのが藤吉(信次)コーチです」

十勝の前代表を務めた藤川は病に倒れ、2018年11月15日、56歳の若さでこの世を去った。渋谷によると、「とにかくヴェルディ愛がすごい人。スカイアースの選手たちの前で『おれは十勝にヴェルディをつくりたい!』と宣言されて、みんなぽかんとした顔をしていました。僕はその気持ちがわかりますよ。でも、ほかの人たちからすれば、いったい何を言っているんだろうと。いろいろな昔話を聞かせてくれて、それがどれもこれも面白かった」。

サッカー人生最後の大仕事となったスカイアースは忘れ形見のようなものである。

「キャンプの最初、町長さんの挨拶では『東京ヴェルディは私たちの夢なんです』とまで言ってくださって。藤川さんの魂、思いをパワーに変え、シーズン後半に臨みたい」(永井監督)

今日現在、そんなことを言ってくれる地方自治体が日本のどこにあろう。今後とも大事にしたい縁である。

一方、スカイアースの長野聡監督もまた、現役時代は2006シーズンの半年間、東京Vに所属した。藤川とはアビスパ福岡時代に接点があり、ここで仕事をするきっかけとなった。

今季は天皇杯1回戦でブラウブリッツ秋田にPK戦の末勝利し、2回戦はジュビロ磐田に0‐3の敗戦。「今年、3回目のJクラブとの対戦。ヴェルディが十勝まできてくれて、選手たちが貴重な経験を得られるめったにない機会ですので、全力でいきますよ」と長野監督は宣言し、翌日にリーグ戦を控えながら45分×3本のゲームに挑んだ。結果は東京Vの大勝に終わったが、スカイアースはダイレクトパスを連続してつなぐ高速カウンターから高瀬証のゴールで一矢を報いている。

なお、8月1日の北海道リーグ第4節、スカイアースは札幌大学サッカー部と対戦し、3‐0できっちり勝利を収めた。

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