「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【フットボール・ブレス・ユー】第54回 大空と大地の希望 ~北海道十勝スカイアース 渋谷亮コーチ~(21.8.4)

北海道十勝スカイアースの渋谷亮コーチ。元気そうで何よりだ。

北海道十勝スカイアースの渋谷亮コーチ。元気そうで何よりだ。

広報も兼務する渋谷の製作総指揮によるマッチデイプログラム。この意気込みからして、ただのトレーニングマッチではない。

広報も兼務する渋谷の製作総指揮によるマッチデイプログラム。この意気込みからして、ただのトレーニングマッチではない。

コロナ禍のため、やむなく入場規制。十勝の小学生、中学生、高校生を中心に招待した。大勢のボランティアスタッフがクラブを支える。

コロナ禍のため、やむなく入場規制。十勝の小学生、中学生、高校生を中心に招待した。大勢のボランティアスタッフがクラブを支える。

「藤川さんのおかげでヴェルディと試合ができ、たくさんの子どもたちにプレーを見てもらえたのがうれしかったです。僕自身、小さい頃からヴェルディに憧れ、アカデミーで育ったひとりですので。できれば勝ちたかったですね。スカイアースが勝つところを見せたかった」

渋谷はクラブにとってエポックメイキングな出来事となった夏の一日をそう振り返る。

「藤川さんは十勝の豊かなポテンシャルに着眼したと聞いています。ここには芝生のグラウンドが60ヵ所以上もある。つまり、巧い、ヘタに関係なく、誰もが柔らかい芝生の上からサッカーを始められるんです。これはすばらしいことだと思います。一方、プロチームが活動できるような環境面の整備は追いついていないのが現状。今後、スカイアースが十勝の子どもたちの夢と希望に、サッカーをやっている子たちの選択肢のひとつになれるようにやっていきたいです」

コーチ業に加え、週2回のスクール指導、さらに広報業務と大忙しの様子だ。プライベートでは、東京Vユースの同期で、今年からポーランドでプレーする相馬将夏とともに『渋谷・相馬の泥の92年組』というラジオ番組をポッドキャストで配信し、一部で好評を博している。

「人員が少ないせいもあって多方面の仕事を任せてもらい、さまざまな経験をさせていただいています。責任を持たせてもらえるようになって、仕事がより楽しくなってきましたね。監督の長野さんは面白いっスよ。外見はちょっと怖いけど、サッカーに対する考え方がしっかりしていて、あんなに愉快で謙虚な方はなかなかいないのでは。長野さんをはじめ、みんなが藤川さんの遺志を継ぎ、クラブを盛り立てようとしている。ヴェルディの縁で誘ってもらった自分も、その一員として仕事に取り組んでいくつもりです」

目指すは、全国地域サッカーチャンピオンズリーグを勝ち抜いてのJFL昇格。その先に夢のJリーグの舞台が見えてくる。

ヴェルディの撒いた種が海を渡り、遠く北海道で芽吹いた。いつの日か、次は公式戦で対戦するときを楽しみに待ちたい。

 

前のページ

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ