「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【インタビュー】『東京ヴェルディの明日はどっちだ』中村考昭代表取締役社長に訊く・前編(21.8.18)

■チームの体制に関する判断基準は?

――アウェーゲームの試合会場では森本譲二代表取締役代行/実行委員の姿を見かけます。中村社長はDAZNで試合をご覧になっていますか?
「そうですね。コロナの感染防止を考慮し、移動は最少人数。実行委員でもある森本がチームに帯同しています 。マネジメントサイドは森本とふたりで担い、リスク管理と役割分担をしていこうということです」

――経営者として現場と一線を引くお考えかと思いますが、シーズン前半を9位で終えた今季の戦いぶりは?
「個別のゲームや選手への言及は控えさせてください。それをすべきではないと考える人間でして。チームに関しては永井(秀樹)監督と江尻(篤彦)強化部長が責任を持って仕事をし、私はプロとして尽力する彼らを信頼しています。森本を含めて監督や強化部長とミーティングの機会を設け、東京Vがどのようなチームであるべきかを話し合っています。むろん、成長途上ですので足りない部分はあるでしょう。それでも少しずつ、チームが成長できる環境になってきているのを感じ取っています」

――今季は昇格枠がふたつで、降格枠が4つもある特殊なレギュレーションです。経営者の立場から現場への要望は?
「う~ん……スポーツチームで勝ち負けを商売にしている以上、目指すのは勝利です。優勝です。実際、そこを目指しています。ただし、常勝チームになるまでの道のりは険しく、容易なことではありません。現場に求めるのは、勝つ確率が高まる組織になっていくこと。結果、それが勝敗につながり、順位に反映されますから。どの試合も真剣に向き合い、勝利に近づいていくチームであることを望みます」

――現場の評価は江尻強化部長の仕事?
「基本的にはそうです。ただ、ほかのスタッフともコミュニケーションの密度を高く、情報のやり取りを行っています。森本も含めて、ですね」

――現在のチームの体制を継続していくか否かの判断基準は?
「政治家的な表現にはなりますが 、順位がどうとか仮定の話はしかねます。われわれのスタッフはベストだと考えており、選手の出入りはありつつも、より成長につながる形を常に模索しています。要は、先ほどお話しした点と線の話と同じです。個々の素材の能力はあると見込んでいて、きちんと機能する組織をつくれるかどうか。強いチームになれるか、いや、強ければいいというものではないですね。いいチームに、個人とグループが成長していけるように組織化できるか。それが今季の大きなテーマ。その方向に組織と人が変わっていくのが一番大切です」

――十全に組織化され、先々の結果が見込めるのであれば継続と受け取っても?
「そうですね。価値あるものは継続し、改善すべきことは改善していきます」

後編は8月25日に掲載の予定です。

前のページ

1 2 3
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ