「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【SBGニュース】Jリーグ理事会後の記者会見「東京ヴェルディの報告書は調査の信憑性、公正性を担保」(21.9.29)

東京ヴェルディ、サガン鳥栖のハラスメント問題に関し、Jリーグの萩原和之コンプライアンス室室長が対応した。

東京ヴェルディ、サガン鳥栖のハラスメント問題に関し、Jリーグの萩原和之コンプライアンス室室長が対応した。

■公表する内容に関してはクラブの判断を尊重

28日午後、2021年度 第9回Jリーグ理事会が開催され、会議終了後、オンラインでの記者会見が行われた。

メディアとの質疑応答では、東京ヴェルディとサガン鳥栖のハラスメント問題に触れる質問があった。

『トップチーム運営状況に関するコンプライアンス委員会』からの調査結果を受けて 東京ヴェルディ株式会社としての処分及び再発防止について

東京Vが21日に発表したこの声明に関し、具体性や透明性についてJリーグの見解を問われ、萩原和之コンプライアンス室室長は次のように回答している。

「アカウンタビリティ(報告義務・説明責任)を最大限発揮し、情報を公開して社会の納得を醸成していくことは非常に重要だと考えています。ハラスメントの件に関し、一般予防効果や再発防止に資するためにはそれが基本。一方、ハラスメントの事案はデリケートな話が多く、一つひとつは似ているようで事情は異なることばかりで、その都度判断しなくてはいけないことが多い。今回、東京Vさんともずいぶん話をさせていただきました。この事案の性質上、報道がだいぶ先行したなかで当事者や通報者の保護を考え、クラブ内ではかなり大変だったようです。東京VさんもJリーグの理念にご理解いただいていますが、公表することのメリットよりデメリットが上回るという判断をされています。最終的にそれを尊重させていただく形になりました」

僕がこの場で確認したかったのは2点。ひとつは報告書を受けてからのJリーグの対応だ。

関係者の聞き取りが不充分で調べが行き届いていないと見られれば、リーグ主導の外部調査を受けることになる。今回、鳥栖の場合はクラブ内で処分を決めた報告書のあとも複数の通報がJリーグに入ったため、外部調査の必要ありと判断が下された。

「東京Vの報告書は一定程度の信憑性、調査の公正性は担保されていると認識しています。ただし、コンプライアンス室だけでは判断しかねる部分があり、顧問弁護士と中身を精査しているところです。懲罰に関しては裁定委員会の諮問を受けてからになり、そこに持っていくのか持っていかないのかも含めて検証している最中」(萩原室長)

東京Vの設置したコンプライアンス委員会が必要十分な成果を挙げ、客観的評価を得られたのはクラブの自浄作用に希望を残す。

次に、永井秀樹前監督の今後である。

処分が下されるか否かはJリーグの裁定委員会の審議対象となってからだ。また、指導者ライセンスは日本サッカー協会(JFA)が管理しており、技術委員会が資格失効や降級などの裁量を持つ。

「今回の情報をJFAに送り、技術委員会で検討していただくプロセスになると思います。まだ報告書は渡していない状況です」(萩原室長)

途中経過の段階であり、問題が落着するのはまだ先である。なぜこんな混乱に陥ったのか、原因を探り、問い続けなければいけないこともある。とはいえ、事態の収拾に向けて道筋がようやく見えてきた。

 

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