「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【フットボール・ブレス・ユー】第56回 再起の場、トライアウトにて(21.12.12)

第56回 再起の場、トライアウトにて

7対7のミニゲーム、柴崎貴広は出番を待ちながらゴールポストの脇に立っていた。

相手がシュートを打ち、ゴールラインを割る。すると、柴崎は味方のゴールキーパーの足元にさっとボールを転がし、速やかにゲームを再開させた。もちろん、ボールを拾い、選手に渡すスタッフは周囲にちゃんといる。

いかにも柴崎らしいな、と思いながら僕はその光景を見つめていた。

12月9日から2日間、毎年恒例の「JPFAトライアウト」がフクダ電子アリーナで開催された。日本プロサッカー選手会(JPFA)が主催し、所属クラブを契約満了となった選手がエントリーする。

今年は初日が54人、2日目が37人の計91人が参加。39歳6ヵ月16日の柴崎は全選手のなかで最年長だった。

トライアウトは7対7のミニゲームと、11対11の試合形式の二部構成で行われる。チームはその日限りで、参加選手のポジションを見ながら主催者側が割り振ったあくまで便宜上のものだ。

サッカー選手を見立てるうえで、ピッチにひとり立たせてシュートを何本打たせ、あるいはセービングを何回見せたところで、得られる情報はほんの一部に過ぎない。結局、その選手がチームのなかで何ができ、どんな仕事を担えるかが問われる。

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