「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【トピックス】2022シーズン 東京ヴェルディ 新体制発表(22.1.16)

中央に中村考昭代表取締役、その右に堀孝史監督、左に江尻篤彦強化部長。そして意欲満々の新加入選手たちの顔ぶれ。今回のような一方通行の新体制発表は最後にしてもらいたい。   (C)TOKYO VERDY

中央に中村考昭代表取締役、その右に堀孝史監督、左に江尻篤彦強化部長。そして意欲満々の新加入選手たちの顔ぶれ。今回のような一方通行の新体制発表は最後にしてもらいたい。   (C)TOKYO VERDY

■新体制発表のあり方、その意義

東京ヴェルディは16日、2022シーズンの新体制発表会(事前収録)をオンラインで配信した。

今季のスローガンは「UNITE AS 1 ―Going Forward-」(ユナイト・アズ・ワン ゴーイング・フォワード)。新しい背番号が発表され、注目の10番は新井瑞希が背負うことになった。

中村考昭代表取締役社長は「選手のトレーニング環境の整備。フロント、事業スタッフの体制強化、勤務環境の整備」などピッチ内外においてよりよい組織づくりを進めていくと表明。江尻篤彦強化部長からは「中期ビジョンとしては2年後にJ1昇格を目指し、そのための大事な1年。昨シーズンの反省を踏まえ、チームを編成し、課題の修正に向けて取り組んでいきたい」と話があり、昨季リーグワースト3位だった失点の減少、攻撃のプランニングに関し、どのようにアプローチしていくかが示された。そのほか新加入選手の面々が今季の意気込みを語っている。

VTRは58分24秒とコンパクトにまとまっている。詳しくは、こちらをご覧になっていただきたい。

まず、新たなシーズンのスタートとなる新体制発表を、誰もが手軽にアクセスできるようにしたのは英断だ。今後も続けていってほしい。

一方、クラブ内ですべてを完結させる収録としたのは解せない。新型コロナウイルスの感染対策上、通常の会見が実施できないのは理解できる。だが、次善手であるLIVE配信を採用しなかったのはなぜか。昨年の新体制発表では、事前にメディアからの質問を集めたが、今年はそれすらなかった。クラブ上層部からのトップダウンの指示であり、内部にも手法を疑問視する声が上がる。

今季の新体制発表の形式が伝えられたとき、僕は呆気にとられた。そんな発想があるとは思いもしなかったのだ。現場のスタッフには方々のメディアから事実確認、問い合わせの連絡が入り、むろん好意的な反応は皆無である。収録したものを流していっちょ上がりとするクラブは、東京Vのほかにない。

メディアとの接点をなくし、一切のリスクを排除できた。その一方、反動として生じるマイナス面を中村社長は過小評価している。

実際のところ、僕はまったく困らない(めでたい席に水を差したくもない)。知りたいことは個別に取材をするだけのことである。だが、そんなふうに東京Vを中心に動ける人間はほんの一部。大半の記者とは新体制発表で顔を合わせたら、次に会うのはホーム開幕戦だ。

新体制発表は、各メディアの担当記者が面を通し、興味の種を見つける場である。閉鎖的なクラブの姿勢を目の当たりにし、もっと知りたい、書きたいと誰が思うだろうか。

また、日本経済が甚大なダメージを受けるこのご時世に、クラブを支援するスポンサー企業の貴重さは論をまたない。新体制発表は、年イチの晴れの場だ。手厚い支援に対し、最大限報いたと言えるのか。

このように外部と遮断しておいて、露出を拡大したい、支援の輪を広げたいとするのは、あまりにもムシのよすぎる考えだ。

 

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