「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【この人を見よ!】vol.47 「0‐7」から始まった ~DF15 馬場晴也~(22.5.19)

馬場晴也は七転び八起きを地でいく人だ。度重なる故障にめげず、大量失点でズタボロにされても心に宿す炎を決して消さない。
2020年、東京ヴェルディユースからトップに昇格し、プロ3年目の今季はセンターバックに定位置を確保。U‐22日本代表の活動とアクシデントを除き、出場全試合フル出場を継続中だ。ゴール前で身体を張り、石にかじりついても負けまいとする魂のプレーが、観る人のハートを揺さぶり続ける。

■0‐7の惨敗が頭をよぎった

5月8日、J2第15節のアルビレックス新潟戦、東京ヴェルディは追撃及ばす3‐4の敗戦となった。

試合後、選手を取材するミックスゾーンはデンカビッグスタジアムの正面玄関左手に設置されていた。

晴れやかな顔をした勝者の群れ。その後ろからひとり、またひとりと東京Vの選手たちがひっそりと出てくる。

馬場晴也は言った。

「前半は気持ちの面で押されていた。どうにかディフェンスはゼロに抑えたかったが、不甲斐ない結果に。3点取られ、後半は気持ちを切り替え、いい形で攻撃を組み立てて3‐3までは持っていけたんですけれど、そこでまず安堵感があって……。もう1点、2点といければ、新潟にボールを持たれることはなかったかもしれない。相手の決勝点はゴラッソとはいえ、自分かボニくん(ンドカ・ボニフェイス)があと少しでも寄せられていれば」

闘志を露わにするピッチとは打って変わり、ぽつぽつと消え入りそうな声である。

辺りは両チームの選手バスの排気音が反響し、ソーシャルディスタンスの2メートル以上を確保する柵もある。半身を乗り出して言葉を書き取った。

前半、3点ビハインドとなったとき、昨年、同地で喫した0‐7の惨敗が頭をよぎったという。ひとまず、同じ轍を踏むことはなかった。

「今日は何がなんでも勝つと臨んだゲーム。足りない、足りない、全然足りなかったと思いながらやっていました。結局、残ったのは悔しさだけ。去年、応援してくれる人たちにあんな思いをさせて今回も。サポーターに申し訳ない」

馬場は声を詰まらせながら語った。

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