「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【トピックス】『城福浩監督就任会見全文』(22.6.15)

右から中村考昭代表取締役社長、城福浩監督、江尻篤彦強化部長。

右から中村考昭代表取締役社長、城福浩監督、江尻篤彦強化部長。

6月15日午後、東京ヴェルディの新しい指揮官に就いた城福浩監督の会見がクラブハウス(東京都稲城市)で行われた。会見に臨んだ城福監督、江尻篤彦強化部長、中村考昭代表取締役社長のコメント、メディアとの質疑応答を含めて約25分の会見の模様をお届けする。

城福浩監督
「Jリーグ、プロの世界ではあることではありますが、今回のように監督が途中で交代することはクラブにとって望ましくないことだと思います。自分もその渦中にいたことのある人間ですので、途中まで指揮する側、途中から指揮する側それぞれの難しさ、クラブの決断の難しさは承知しております。東京ヴェルディは伝統のある、どのチームにも真似できない歴史のあるクラブ。この度、新しいヴェルディの構築を加速させたいと、強く、熱い思いをお聞きし、ご依頼の重さを充分認識したうえで熟慮し、引き受けさせていただきました。現在、結果の面ではそれほど多くは負けてはいませんけれども、望むような勝点は積み上げられていない状況。シーズンの残り半分、選手とどう戦っていくか、いまはそこに集中したい。とにかく、次の山口戦で勝点3を取るべく、選手やスタッフとともに全力を挙げて準備したいと思います」

江尻篤彦強化部長
「新体制を敷くにあたり、城福監督に引き受けていただき、ヘッドコーチに小倉勉さんを招聘しました。いまのチームを支える、保坂(信之)コーチ、長島(裕明)コーチ、油原(丈著)GKコーチ、石井(孝典)フィジカルコーチ、山本(大貴)分析とともに残りの21試合をしっかりと戦っていきたい。可能性のある限り、上を目指して勝負していければと思っております」

中村考昭代表取締役社長
「ヴェルディのこれまでの歩み、これからも歩んでいく道のりを見据え、シーズン後半、城福さんに監督として指揮を執っていただくことをクラブとして決定しました。その道のりを確度の高い、より確実なものとするための組織強化を目的に、ヘッドコーチとして小倉さんにお越しいただいています。ここまで堀前監督には昨年来のクラブの難しい状況で監督を引き受けていただき、求心力、モチベーション、一体感などを保つには難しい環境にあったと思いますが、100%の力を発揮して乗り切ってもらい、今季もスタートから仕事をしていただきました。この場ではありますが、堀さんに感謝を申し上げたいです。今季、クラブの掲げるスローガン『UNITE AS 1 -Going Forward-』のとおり、ひとつになって持てる力を100%発揮し、22節以降の後半戦、1試合1試合に向かいながら勝利を積み重ねていきたいです」

■運命的なものを感じた今回のオファー

――城福監督に質問です。対戦相手として見てきたヴェルディのクラブカラーは?
「一概にカラーを表現するのは難しいですけれど、Jリーグ発足から最初の10年はサッカー界を引っ張っていく存在で、すばらしい歴史をつくったクラブ。自分の現役時代は、読売クラブに練習試合の相手をしてもらい、ある意味、憧れの存在でもありました。自分がプロの世界に足を踏み入れてから、2008年が(J1における)東京ダービーの最後の試合ですね。僕はFC東京側のベンチにいました。以降の十数年、非常に難しいときにヴェルディを支えてくれた方々がいて、応援してくださる方々とともに歩んだ時期のほうが自分は身近に感じました。同じプロの世界で生きていくなかで今回お話をいただき、そのことに思いを馳せたというか、自分の頭に一番浮かんだことです。直近の十数年、難しい時期にクラブを支えてくださった方々に笑顔をもたらせられるように、ヴェルディをまたJ1のステージに連れていきたいという思いを持っています。クラブのイメージとしてはそんな感じで、サッカーのイメージはそのときどきで変わっていくもの。対戦したときのイメージもあれば、現在のイメージもあります」

――ヴェルディで仕事をするにあたり、魅力を感じたピッチ内の要素はありますか?
「途中から監督の仕事を受けるのは初めての経験になります。勝点を積み上げていくことに最大の目標を置き、それが僕にとっても最大のミッション。加えて、新しいヴェルディの構築を加速していくことにやりがいを覚えています。いまのヴェルディのスタイルに刺激を入れることに関し、自分の経験を役立てられるのではないかと。先ほど、フロントの方々には話したんですが、最後のダービーとなった2008年、FC東京は最終節でジェフユナイテッド千葉と対戦し、途中まで2‐0でリードしながら4点取られて敗れ、6位でシーズンを終えました。最終節の結果、奇跡的にジェフが残留し、ヴェルディは降格。その事実は、プロの監督としてかかわってきたなかで深く心に刻まれています。自分のせいというのは語弊がありますけれども、今回、お話をいただいたときに僕は運命的なものを感じました。新しいヴェルディをつくり、一番上のリーグで戦わせることが、日本サッカーへの大きな貢献になるのではないかという思いもあります」

次のページ

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ