「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【トピックス】『城福浩監督就任会見全文』(22.6.15)

リヴェルンを持つ城福浩監督。まだなじんでない感がありありと。

リヴェルンのぬいぐるみを手に持つ城福浩監督。まだ他人行儀の感がありありと。

■勝点を獲得するための攻撃と守備の両立

――江尻強化部長にお訊きします。堀監督の退任に伴い、なぜ城福氏にオファーを?
「まず、堀前監督には最大限のリスペクトを持っています。昨年、難しいなかで監督を引き受けてもらい、今季のシーズン前半、特に最初の8試合はチームのいいものを出してもらい、特に若手の積極的な起用、選手の特長がよく発揮され、個人の成長が促されました。今回は残りの21節を考え、総合的な判断により監督を交代し、城福監督にお任せすることにしました。チームの強化はもっと高みを目指し、将来のためにやっていかなければいけない仕事。私自身、日々葛藤しています。皆さんご存知のとおり、堀さんとは親友であり、大学時代の友でもありますが、それとヴェルディの未来はまったくの別ものです。しっかりとした考え方をもって仕事をすべく、このような形を取らせてもらいました」

――今季は3年計画の2年目。2年後にJ1を目指す目標設定は変わらず?。
「2年後と言わず、チャンスがあれば今年も狙っていきたい。勝点だけを考えれば不可能な数字ではない。やるからにはプロとして上を目指すのは当たり前です」

――城福監督に質問です。新しいヴェルディのサッカーをつくるために、具体的に何が必要になってくるとお考えですか?
「パスをつなぎ、地上戦で勝負していくスタイル。人とボールが動いていくサッカーは自分が昔から標榜してきたものでもあり、非常に好感を持って見ていました。現時点、得点数は昇格争いで、失点数は残留争いの数字です。この攻撃力、アイデアを削らずに、どのようにして勝点につなげていくか。かといって守備だけにフォーカスすると、攻撃力が削られる可能性がある。自分たちはもっとやれると攻撃力を上げるためのアプローチをしつつ、最低限の隙をつくらないようにする守備の構築。ふたつの両立は自分と小倉コーチの経験をもってすれば必ずできると考えています。現代サッカーにおいて、前から後ろから走らなくていい選手はひとりもいない。全員が走って勝点をもぎとるといったイメージです」

――現在、東京Vは勝点が26で、6位のプレーオフ圏内まで5差。ここからの勝点の目標と、得点をどれだけ伸ばしていきたいか具体的な数字があれば聞かせてください。
「まずは次の山口戦のことしか考えてないです。目の前の試合でいかに勝点3を取るか。ここに全力で取り組みます。ただ、手段を選ばないというわけではなく、ヴェルディの新しいサッカーを構築しながら勝点3をもぎ取る。チームのために勝点3に勝る薬はなく、選手のメンタル的なリカバーに効くものもほかにない。1試合、1試合、自分たちの目標を強く意識しながら戦うこと。これに尽きます。結果として、最終的な勝点によってプレーオフを戦う状況になるのか、最終盤にもっと高い望みを持てるようになるのか、それはわからないです。まずは最善の準備をすることです。得点力に関しては、もっと攻撃のバリエーションを増やしたい。リーグ2位タイの得点数のわりに、おそらく選手を含めて持っているイメージを実現させた得点はそこまで多くはないと見ています。得点パターン、イメージするシーンはたくさんある一方で、なぜそこに至っていないのか。今日もその部分は選手と共有し、明日もトレーニングします」

――中村社長に質問です。経験豊かなプロフェッショナルな監督からは、仕事の質を上げるための要望が当然出てくると思います。現場をバックアップしていくための今後のプランは?
「城福さんの監督就任に関わらず、トレーニングの環境をはじめ改善すべきことはあると考えてます。ヴェルディを構成する、ベレーザ、育成組織などすべてを含め、成長、進化させていくために、クラブとして着実に手を打っていきたい。それらに合わせ、城福監督がチームを指揮するうえで必要となってくる部分は強化部門の考えもすり合わせ、打つべき手を打っていくつもりです」

――城福監督、初日のトレーニングを振り返っていかがでしたか?
「監督が代わって、選手は複雑な思いがあったと思います。次の試合に向けて準備できる時間のなかで、いまのチームの何を肯定し、どこをもっと変わらなければいけないのか、ミニマムに整理して選手に伝えました。ミーティングでホワイトボードを使って説明する際、『よく見えるところにこい』と言ったら、各々が椅子を持ってガッと前にきました。そういった姿勢からも、もっと上を目指したい思いが伝わってきましたね。今日はオフ明けにしては非常に激しいトレーニングでした。意欲に満ちる彼らとともに、週末は勝点3を取りたいと思います」

 

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