滑って転んで、そして考えた 日本の競技施設の「今そこにあるリスク」 by 宇都宮徹壱( @tete_room)
(c)Tete_Utsunomiya
久々に、取材現場で手痛い負傷をしてしまった。事故が起こったのは8月30日、場所は金沢の石川県西部緑地公園陸上競技場。その日は16時より天皇杯1回戦、ツエーゲン金沢対FC今治の試合が行われていた。後半35分のタイミングで金沢が2−1でリード。コラムに使用するラストカットを撮影するべく、私は記者席からピッチに移動しようと階段を降りようとしていた。次の瞬間、右足のかかとが空を切る。
ずどどどどどーん!
実感としては、そんな感じの音がした。おりからの雨で濡れていた階段に足を滑らせたのである。痛みを感じたのは尾骶骨と左手首。尻もちをついた際に、無意識に左手をついていた。「だ、大丈夫ですか?!」と、若い係員が声をかける。こういうとき、なぜ人は「だ、大丈夫です」と答えてしまうのだろう(私だけか?)。実際のところ、大丈夫ではなかった。すぐに傍らのカメラバッグの中身を確認すると、レンズのフィルターに大きな亀裂が入っていて、思い切り落ち込んだ(その後、カメラ本体とレンズで5万円の修理費がかかることが判明)。だが、それ以上にダメージを受けていたのは、転倒の際に瞬間的に全体重を支えた左手首であった。
試合は、終了間際に今治が同点ゴールを決めたため、ついに延長戦に突入。そこでも数々のドラマがあったのだが、そのあたりについてはこちらのコラムに譲る。結果は6−3で金沢が格上の意地を見せたが、総じて素晴らしい試合だったと思う。問題は、その後だ。
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