宇都宮徹壱ウェブマガジン

売れたいならニコトピを取りに行け! サッカーメディア・ニコ生主鼎談:MCタツ( @TATSU_MC)、北健一郎( @kitaken1ro)&峰麻美( @asmxxxtsy)(前篇)

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左からMCタツ、峰麻美、北健一郎の各氏。撮影:澤山大輔(以下すべて同じ)

徹マガをご覧の皆様、こんにちは。編集長の澤山です。今回は2回に分け、『ニコ生サッカーキング・ハーフタイム』のMCタツ氏、『チューズデーフットボール』のMCを務めるサッカージャーナリスト・北健一郎氏、そして『J.Chan』『ぶっちゃけタイガー(仮)』のMCであるマルチタレント・峰麻美氏を迎えての鼎談をお送りします。

動画コンテンツ全盛期となった昨今、サッカーメディアでも様々な試みが行なわれてきました。その中でも、今回紹介させていただく御三方はとりわけ意欲的に発信を行なっています。『ニコ生サッカーキング・ハーフタイム』さんは1回のユニークユーザー数が1万人を超す日もザラにあるほど圧倒的なアクセス数を持ち、『チューズデーフットボール』さんは映像の権利を保有して違法ではなくリーガルな形で映像コンテンツを送る試みを行ない、『J.Chan』さん『ぶっちゃけタイガー』さんはそれぞれ特色あるMCを迎え独自性の高い発信を行なっています。

とはいえ、ニコ生にせよYoutubeにせよ、そう簡単に収益化ができる媒体ではありません。今回は、こうした情報を発信する上での集客方法、勝手が分からず苦労した点など、様々な部分について当事者であるお三方に語ってもらいました。他ではなかなか読めない内容の鼎談になったのではないかと思います、ぜひご覧ください。(取材日:2015年08月31日 構成・写真:澤山大輔[徹マガ編集長] 編集協力:内藤秀明[フリーライター])

■ニコ生を始めたきっかけ

――そもそもなんですけど、お三方がそれぞれニコ生を始めたきっかけを伺ってもいいでしょうか。

北健一郎(以下、北) 一番、最初に始めたのはタツさんのニコ生サッカーキングですよね。

MCタツ(以下、タツ) サッカーキングがニコ生を始めたのは、2013年3月です。きっかけは当時のプロデューサーが、「ニコ生はこれからくるメディアだから、絶対やったほうがいい。力を入れてやるべき」って言ったから。その時に社内で「なにもやることないお前がやれば」って話になり、入社して3カ月くらいの僕が任命されました。なので、始めることが目的で始めた感じですね。そこから昨年の8月ごろに、当時の会長に、「毎日やれよ。他の媒体に圧倒的差をつけろ」と言われ、10月から平日毎日やるようになりました。

北 当初は夜にスペシャル特番みたいな感じでやっていましたもんね。

タツ そうですね。「ウェブメディアは動画をやらないと」っていうのが、そもそものスタートです。それで、2年かけて、毎日やるような形に変化しました。

北 「ハーフ・タイム」をお昼のあの時間にしたのはどうしてだったんですか? 最初は夜の時間帯でしたよね。

タツ 毎日続けるのに、夜やるのはしんどいだろうと(笑)。

北 そこなんだ(笑)。

タツ まず続けるには、続けられるやりかたでやらないと。夜は飲みにいきたいし(笑)。かつ、やってから気づいたけど、夜はサッカー業界の人が見てないんですよ、ニコ生を。みんなも飲んでいるから(笑)

峰麻美(以下、麻美) そうですよね!

タツ あと、最近ありがたいことに、広告が結構入ってきているんですよ。何故かと言うと、代理店やクライアントの人がビジネスタイムに「仕事だ」って言いながら見られますからね。Jクラブの広報さんからも「見ましたよ」って声かけられたことがあります。昼やっている強みはそういうところですね。最初は、続けるためにも、夜は飲みにいきたいから、僕が嫌だって言っていただけなんですけど、結果的にはそういうメリットもありました。

他にも、昼にやってよかったのは、占有率が高いことですね。公式放送があるから、上三つには及ばないけど、4番目くらいの数字を集めることも多くあります。夜はチャンネルが多いけど、昼は本当に少ない。占有率の高さは大きい。高い占有率をとれるのは、ラッキーでした。最初から狙っていたことではなかったんですが。

――「J.Chan」さんはどういう経緯で始めることになったんですか?

麻美 去年やっていた、「サポレポ・ポッドキャスト」っていうwebラジオみたいな番組で、サポーター目線でJリーグを言いたい放題言うっていうのがありました。Podcastランキング上位だったり、スポーツランキング1位とかになったりしていて、ある程度、人気も出ていました。なぜ動画にしたかと言うと、すごく簡単な話、見た目がラジオじゃもったいないからですね。

Podcast時代の運営元はGoal.comだったんですけど、GoalがJから撤退して、行き場がなかったところに、一度ゲストで来て下さったことがある植田編集長が「だったらウチはYouTube番組を持ちはじめたから、ここでやったら?」ってなりました。もともとラジオでしたけど、まぁチェーザレ・ポレンギも見た目が、面白いじゃないですか。外国人が日本のサッカーを語っているのも面白いですし。私も見栄えがするから、「動画のほうがいいのでは?」って、今年の頭から始まりました。

北 「J.Chan」はどういうコンセプトでやっているんですか?

麻美 あくまでも私の意見ですけど、例えば、テレビ番組だと、ファールのシーン一つとっても、色んなものの兼ね合いで何も言えないことが多いんだと思います。2ステージ制の問題でもそうですよね。でもYouTubeだと、ある程度許されるだろうっていうのは考えています。だからサポーターがSNSで「これおかしいだろ」って言っているのに、TVでは触れられない部分を掘り下げていきたいとは思っています。SNS発信の情報は、サポーターの生の声だと思っているので。

――北さんの「チューズデーフットボール」はどうですか?

北 「チューズデーフットボール」は、動画との連動コンテンツをやっているフォトメって会社が運営しています。実は、YouTubeにあがっている動画を使って、コンテンツを作っていた時期もありました。正直、そのやり方で内田篤人のプレー分析をしたら、すごいアクセス稼げるんですよね。ただ、YouTubeに上がっている動画も、もともと違法動画なので、消えちゃうことも多々ある。すると、また探して、消えて…って不毛なやりとりが多い。あとこのやり方だとアクセス稼いでも、広告とってくるのが難しいですし、事業として先がないんじゃないかってなって話になりました。それでオリジナルの動画番組を始めることに。

今ってサッカーキングも、Jチャンもそうですけど、トークで見せるのが主流じゃないですか。なら、後発で何をやるかってなった時に、差別化するために試合の映像を見せることにしました。それで、パフォームというGoal.comなども運営している世界的な動画配信会社と話をして、実験的に、動画の権利を番組内で使えるって形になりました。構想したのは今年の4月ぐらいで、7月からスタートしました。

「チューズデーフットボール」をやってみて思うのは、世の中に埋れている面白いサッカー映像ってたくさんあるんだなと。今、みんなが見ているサッカーの映像って、スペインとかドイツとかCLとか、メジャーどころの映像だけじゃないですか。テレビ局も人が多く見るもの映像を買うから、どこも似たような映像になるんですよ。そうじゃなくて、パフォームが持っている映像の中には、ほとんど世に出ないけど、MLS、中国リーグ、CONCACAFチャンピオンズリーグとかあって、そこにも見るべきプレーがたくさんあるんですよ。そういうのを配信するのは今のテレビでは無理なので、ネットで出して、そこを広めていきたい。

月曜日にマンデーフットボールで王道のサッカーのハイライトをみて、火曜日に「チューズデーフットボール」でそこからはみ出たものをみてもらうって、流れを作りたいなって。

麻美 ちょうど、私がカンボジアンタイガーの番組を始めた週くらいですよね。

北 同じ週だったかもしれないね。

麻美 火曜日、木曜日で。

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