宇都宮徹壱ウェブマガジン

勝手に“被害者”扱いしないで。 岐阜セカンドサポーターが見るJ3 Text by 吉田鋳造(@gzeppelin)

 Jリーグは8日のJ1~J3合同実行委員会でJ1、J2クラブの2軍に当たるセカンドチームをJ3に参戦させる案を議論した。実戦経験不足が課題になっている若手強化のため。早ければ来季からの導入を視野に検討を続ける。(日刊スポーツより)

この驚くべきニュースが報じられたのは、私が中東取材で日本を離れている時のことであった。もちろん報道そのものは把握していたが、やはり日本にいないとその「温度感」というものがどうにも伝わってこないし、こちらも目の前の取材に夢中になっているので、どうにもキャッチアップできずにいた。
(参照)

そこで今回は、私の10年来の観戦仲間で、私よりもはるか昔から地域リーグの現場を歩きまわっている吉田鋳造さんに、編集長澤山の発案にて特別寄稿していただいた。本件についてはさまざまな意見があるだろうが、鋳造さんには、FC岐阜のサポーターとしての立場から語っていただく。

―――――――――――――――

今回の件はきっちり2つに分けて話を進めないと、どうにも納得がいかないので、強引に分けさせていただく。

まず、「“Jクラブのセカンドチーム”がいきなり“J3へ加入する”話が進んでいる」点に関して発生した議論については、大いにモノ申したい。ただし、申したい相手はこの件の賛成派でも反対派でもなく(実際は反対派にしかいないのだが)、この件で“反対”の意思表示をするにあたって「FC岐阜セカンド」というチームを「勝手に『被害者』として利用した」人たちだ。

いわく、「FC岐阜セカンド(以下『岐阜セカ』)やファジアーノ岡山ネクスト(以下『ネクスファジ』)に失礼だ」「岐阜セカやネクスファジを先にJ3に上げるべきだろ」。もう、言いたい放題もいいとこだ。ネクスファジについては内情を知る立場ではないので論評しないが、いったいいつ岐阜セカが「J3に行きたい」なんて言ったのだ。

結構長い間、岐阜セカについてはキチンと情報を追いかけていたつもりだが、浅学のせいかそのような意思表示にめぐりあった記憶がない。そもそも、岐阜セカは一昨年の通称“長崎全社”で3位に入って、全国リーグ(JFL)への昇格を争える大会『地域決勝』への出場権を手にしながら、その権利を放棄しているのだ(その結果、「FC KAGOSHIMA」が『地域決勝』に出場してJFL昇格を手にしている)。

「セカンドチーム」と言っても、その事情はクラブによって異なる。大抵は「選手の育成」が目的だが、チームの“目標”は本当に異なって一般論では語れない。かつての岐阜セカの目標は、「選手の育成」ではなく「国体出場チームの強化」だった(それが実を結んだのが2年前・東京国体でのサッカー成年男子優勝)。

(残り 1568文字/全文: 2684文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ