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【無料記事】FIFAも注目する『ママズ・リーグ』とは? 取材先のグアムで見つけた、豊かな光景

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(c)Tete_Utsunomiya

3泊4日の海外取材を終えて、成田エクスプレスの中でこの原稿を書いている──。このところコラムの書き出しが定型化しているが、前号でも書いたとおり旅から旅への日々ゆえに、もっぱら移動中に原稿を書く日々が続いている。今回の取材先は、グアム。そう、日本人にとって馴染みの深いリゾート地として知られる、あのグアムである。好んで秘境をほっつき歩く私が、なぜにグアムなのか? もちろんバカンスではなく、今回もフットボールの取材である。

グアムはアメリカ領でありながら、独自のサッカー協会を持っており、FIFAとAFC、そしてEAFF(東アジアサッカー連盟)に所属している。人口は17万人ほどで、面積は淡路島と同じくらい。いわゆるミニステートの宿命として、グアムもまた予選に出たら負けの「やられ役」でしかなかった。2002年ワールドカップ予選でも、イランに0−19、タジキスタンに0−12という(悪)夢スコアで敗れている。

その後、彼らは06年と10年大会予選にはエントリーを見合わせたのだが(その理由は今回の取材で判明した)、14年ロシア大会を目指すアジア2次予選では、世界を驚かす戦績を残している。

◯ 対トルクメニスタン戦 (H)1−0
◯ 対インド戦 (H)2−1
● 対イラン戦 (A)0−6
△ 対オマーン戦 (H)0−0
● 対トルクメニスタン戦 (A)0−1

5試合を終えて2勝1分け2敗のグループ4位ながら、序盤で連勝した時点では何と首位に立った。その後、アウエーのイラン戦ではアザディ・スタジアムの異様な雰囲気とレベルの差に圧倒されてしまったが、続くオマーン戦は見事に切り替えてドローに持ち込み、さらにアウエーのトルクメニスタン戦でも「敗れはしたが今予選で最高の試合内容」(ゲイリー・ホワイト監督)を見せたという。

ちなみに、このグループでグアムのFIFAランキングは、トルクメニスタンの次に低い150位。もっともトルクメニスタンは、2004年のアジアカップに出場しており、唯一グアムだけがこのグループでアジアカップの出場経験がない。対戦相手との力関係を考えるなら、ここまでのグアムの戦いぶりは大健闘と言ってよいだろう。

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