宇都宮徹壱ウェブマガジン

復興支援映画で体感する「サッカーのチカラ」 映画『MARCH』制作委員会インタビュー

今年もまた、3月11日が近づいてきた。日本人の誰もが「あの日」を忘れまいと思いつつも、日常を積み重ねるごとに「あの日」の記憶は侵食されてゆく。先月の冨士ゼロックススーパーカップで行われた、被災地支援の募金総額は9万1088円。公式入場者数が3万3805人であったことを考えると、いかにも寂しい数字だ。これもまた、記憶の風化を端的に示す具体例といえよう。

そんな中、東日本大震災から5年を迎えるにあたり、復興支援を目的とした映画『MARCH』が上映される。作品はドキュメンタリーで、原発事故のあった福島県南相馬市で活動する小中学生のマーチングバンド『Seeds+(シーズプラス)』と、彼らを前座公演に招いた愛媛FCとの交流、そして被災地・福島の現状を静謐なカメラワークで描いている。ちなみにタイトルの『MARCH』は、マーチングバンドのマーチと、震災があった3月(英:March)のダブルミーニングである。

この作品の監督は、『プライドinブルー』や『アイ・コンタクト』など障がい者サッカーをテーマにした作品で実績のある中村和彦さん(写真左)。プロデューサーは、日本代表と愛媛のサポーターであり、震災以来ずっと被災地支援を続けてきた、ちょんまげ隊のツンさん(中央)。そしてプロデューサー補佐には、『トモにブラジルへ』をはじめ、ちょんまげ隊の数々のプロジェクトに関わってきた遠藤恵さん(右)が加わっている。今回はこの3人に、映画『MARCH』制作委員会としてお話を伺った。

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