本田圭佑の響く言葉,自然に出てくる日本とドイツの違い『今週の清水英斗おすすめ3本』(J論)

宇都宮徹壱ウェブマガジン

【無料記事】「特別な人」三浦知良  今日の現場から(2016年3月20日@ニッパツ)

好天に恵まれた春分の日。数あるゲームの中で、J2の横浜FC対レノファ山口を選んだのは、何となくカズこと三浦知良がスタメン出場する予感があったからだ。先月の26日、カズは49歳の誕生日を迎えた。新しいFIFA会長(ジャンニ・インファンティーノ氏=45歳)よりも年長の現役フットボーラーのプレーを間近で観ることができるプロリーグは、世界広しといえどもJリーグくらいだろう。予想どおり、カズは今季初スタメンを果たし、自身が持つJ2最年長出場記録を49歳と23日に更新した。

さて横浜FCといえば、開幕からの3試合で勝ち点どころか1ゴールも挙げることなく、この時点で最下位に沈んでいた。しかもミロシュ・ルス監督が急きょ検査入院することになり、S級を持っていない増田功作ヘッドコーチが指揮を執るスクランブル体制。カズがどこまで勝利に貢献できるかは未知数だったが、「何かを変えなければ」という切実な思いが感じられるベテラン起用であった。結局、この日のカズは1本のシュートも放つことなく、後半10分で交代。その後、小野瀬康介が2ゴールを挙げ(後半19分と36分)、2−0で勝利した横浜FCはようやく長いトンネルを抜けて17位に浮上した。

もっとも、この日のカズのプレーはかなり精彩を欠いていた。空中戦で競り勝てない、味方の縦パスに追いつけない、ボールを奪われて取り返せない、などなど。49歳にあまり多くのものは望めないとはいえ、後半10分での交代は極めて妥当だったと言える。それでもカズは、決してサボることなく全力でプレーし、守備面でも献身的なプレーを見せていた。そんなベテランの真摯な姿勢こそ、必勝が求められたチームに必要だったのかもしれない。

試合後、フットサル日本代表監督を退任したばかりのミゲル・ロドリゴ氏が、別れの挨拶をするためにカズと面会していた(2日後には離日するそうだ)。4年前のワールドカップでカズを抜擢したミゲル氏は、「彼は特別な人。また一緒に仕事がしたい」と語る。横浜FCのみならず、Jリーグや日本サッカー界にとっても、カズはまだまだ「特別な人」。それが本当に良いことなのかどうか、もちろん意見が分かれるところであろう。ただ同世代の人間としては、カズにはもう少しの間、現役アスリートとしてピッチ上から話題を提供し続けてほしいところ。いずれにせよ、この日は横浜まで足を伸ばして正解だった。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック