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宇都宮徹壱ウェブマガジン

街なかで子供を撮ることが許されない時代に 当事者意識で考える『声かけ写真展』の是非

 今回は久々に「写真家」としての視点から語ろうと思う。サッカーの話とは直接関係ないことを、あらかじめお断りしておく。

 この連休中、東京・世田谷の『IID 世田谷ものづくり学校』で行われた『声かけ写真展』という展示イベントが物議を醸している。『声かけ写真展』とは何か。かいつまんで説明すると、街なかで出会った少女(もちろん面識も血縁関係もない)に声をかけて撮影された写真の展覧会である。

 ちなみに会場となったIID 世田谷ものづくり学校とは、公式サイトによると「2004年に廃校となった旧池尻中学校舎を世田谷区から借り受け、再生活用した施設」であり、「各教室は製造・デザインだけでなく、サービスの企画、製品プロデュースなど様々な分野で活躍するクリエイター・デザイナーに『仕事場』として開放しています」とある。運営しているのは『株式会社ものづくり学校』であり、世田谷区とは関係ない。今回の『声かけ写真展』は、一定の審査をした上で場所を提供したものであり、企画したのはまったく別の団体である。

「声かけ写真」の定義について、写真展の企画者によると「70年代から数十年にわたりアマチュア写真家に好まれたテーマで、中でも街角に遊ぶ少女は格好の被写体でした」。その上で「本企画展は、被写体と撮影者の邂逅から撮影に至る対話をも想像させる『声かけ少女写真』を回顧し、傑作を紹介する」としている。会期は5月4日から8日まで。よって、具体的にどのようなイベントであったかについては、鑑賞した人がネット上にアップした情報から類推するしかない。

 私自身、「声かけ写真」という言葉そのものは初耳だったが、ニュアンスとしては理解できる。それこそ私が尊敬して止まない荒木経惟牛腸茂雄といった写真家は、道端で出会った少年・少女に声をかけて、その存在感や空気感を鮮やかに切り取る鬼才・天才であった。

 もっとも、そうした手法が許されたのは昭和の時代まで。たとえばもし私が、アラーキーを気取って世田谷の住宅街あたりで「声かけ写真」を敢行したらどうなるか。「世田谷区●●で、カメラを持った髭面の中年男が女の子に『写真を撮らせて』と声をかける事案が発生」というアラートが、またたく間にSNSで拡散されるだろう。通報されて警察のご厄介にでもなった日には、私がこれまで営々と積み重ねてきた社会的信用は木っ端微塵に砕け散るはずだ。くわばわ、くわばら。(参照=PDF)

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