宇都宮徹壱ウェブマガジン

「通り過ぎる街」で体験したクラブ愛と温かさ 『鳥栖フットボール映画祭』ゲスト出演に寄せて

 キリンカップ取材の合間をぬって、鳥栖まで足を延ばしてきた。6月5日に当地で開催された『鳥栖フットボール映画祭』にゲストとして招かれたためである。オファーをくれたのはちょんまげ隊のツンさん。「宿泊はどうするんですか?」と尋ねると、「お寺に泊まれるので大丈夫です」とのこと。え、もしかしてむちゃくちゃ早起きして座禅とか組まないといけないの? などと少し心配になったが(実際はそういうことはなかった)、日々忙しくしているうちに当日を迎えた。

 映画祭前日の4日、新幹線と在来線を乗り継いで鳥栖駅に到着。鳥栖駅は九州の交通の要衝であり、すべての在来線が停車する駅であるのだが、そのわりには随分とこぢんまりとしている。だが、列車から降りてほどなくして、この駅が他とはかなり特殊であることに気付かされた。何と、駅構内が「サガン鳥栖だらけ」だったのである。次回ホームゲームの宣伝はもちろん、巨大な選手の紹介ポスター、アウエーのファンを歓迎する垂れ幕、そしてコインロッカーも選手の写真でラッピングされていた。改札を出てすぐのところに、クラブのオフィシャルショップがあったのも驚きだった。

 ちなみに鳥栖のホームゲームの際には、駅員はユニフォーム姿で業務を行う。ただしクラブに頼まれたからではなく、自主的にそうしているのだそうだ。もちろん、すぐ近くにスタジアムがあることも影響しているのだろう。にしても、ここまでクラブ愛に満ち溢れた駅というものを、私は鳥栖駅以外に知らない(もしあったら、ぜひご教示いただきたい)。

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