宇都宮徹壱ウェブマガジン

【無料記事】献本御礼『KFG蹴球文化論(壱)〜革命蜂起編〜』 錦糸町フットボール義勇軍著

 事情がよくわからない人には、タイトルについても著者についても「?」ばかりが頭上に浮かぶことだろう。とりあえず、フットボール義勇軍について知りたい方は、本書のベースとなっているこちらの地下放送を聞いてみてほしい。また当ウェブマガジン会員の方には、以下のバックナンバーをお勧めする。

通巻148号 原理主義者よ、目前のサッカーを愉しめ! ロック総統(Miyazaki shock boyz代表)インタビュー<前篇>

通巻149号 「Jが無いことは恥ずかしい事じゃない!」 ロック総統(Miyazaki shock boyz代表)インタビュー<後篇>

 本書を献本していただいた理由は、ロック総統をはじめ、フットボール義勇軍の皆さんと仲良くさせていただいていることがひとつ。それに加えて、義勇軍のひとりから本書の出版に関して、個人的に相談を受けたという経緯があった。「自費出版を考えているので、協力してもらえませんか」というのが相談の主旨だったのだが、私はいちブックライターとして「ちゃんと版元を見つけて、書店で売れる本を出したほうがいいですよ」と、僭越ながらアドバイスさせていただいた。

 そして完成したのが、書籍JANコードが入っていない本書。要するに地下出版、21世紀の『腹腹時計』といった趣である。もちろん爆弾の作り方は書かれていないが(笑)、現状の日本サッカー界に対する過激な言説の数々は、まさに「紙爆弾」という表現が相応しい。本書のテイストを考慮するなら、結果としてゲリラ的な地下出版のほうが正解であった。と同時に、商業主義的なファクターの一切を排除したところに、作り手の「プロレタリアート」としての潔さがストレートに伝わってくる。

 Jリーグや日本サッカー界に蔓延する、さまざまな悪しき「原理主義」に鉄槌を下しながら、それでも身体を張ったエンターテイメント性も忘れない。そして一貫して訴え続けているメッセージは「今、そこにあるサッカーを愛せ!」。今後もシリーズ化されるようなので、続編を楽しみに待ちたい。なお購入はこちらで。定価1112円+税。

【オススメ度】☆☆☆★★

「いずれまた地下イベントのゲストに呼んでください!」

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