都並敏史、11年ぶりの監督復帰。その先に見据えるJへの旅路(J論)

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【無料記事】ももクロには勝てないかもしれないけれど 今日の現場から(2016年8月13日@ニッパツ)

 リオ五輪のサッカーは終戦となったけれど、日本にはJリーグがある! ということで今週末はニッパツ三ツ沢球技場に行ってきた。カードは横浜F・マリノス対大宮アルディージャ。J1のセカンドステージ3位対10位の対戦である。なぜこのカードを選んだかというと、F・マリノスの試合を三ツ沢で見たいという、非常にシンプルな理由によるものであった。

 F・マリノスのサポーターには申し訳ないが、私は巨大すぎる日産スタジアムがどうにも馴染めずにいる。言うまでもなくF・マリノスは人気クラブのひとつであり、昨シーズンのホーム平均入場者数は2万4221人。カードによっては4万人を超えることも珍しくない。ところが7万人収容の日産スタジアムでは、どんなにビッグカードになっても、スタンドの7割以上が埋まることはほとんどないのが実情だ。

 では三ツ沢はどうかというと、確かにサポーターには「聖地」と位置づけられているものの、古くていささか使い勝手がよろしくない競技施設である。キャパシティ1万5454人というのも手狭感が否めないし、屋根も付いていないし、試合後のバス停には気が遠くなるほど長い行列ができる。それでも、スタンドからピッチまでの距離が近いこと、そしてスタンドの収容率が非常に高いこと、以上2点は日産スタジアムでは望むべくもない魅力となっている。

 この試合の公式入場者数は1万3009人。両ゴール裏はもちろん、メインスタンドもバックスタンドもぎっしりと観客で埋まり、スタジアムは独特の高揚感に包まれていた。試合内容も、実に拮抗した展開。アウエーの大宮が後半23分に泉澤仁の素晴らしいミドルで先制し、ひとり退場となったF・マリノスが終了間際にファビオのゴールで引き分けに持ち込むなど、見どころの多いゲームであった。もちろん、両チームとも反省材料が少なくなかったと思うが、この日スタンドに足を運んだ観客は概ね満足して帰路についたのではないか。

 ところでこの日、日産スタジアムではももクロのコンサートが行われ、5万6000人もの観客を集めたそうである。さすがに相手がももクロとなると、F・マリノスも譲歩せざるを得なかったのだろう。一方、横浜スタジアムではDeNA対広島の試合が開催され(帰りの横浜駅ではたくさんのカープ女子を見かけた)、横浜アリーナでもHey! Say! JUMPのコンサートがあった。8月13日の横浜は、さまざまなエンターテイメントのイベントが目白押しだったのである。

 F・マリノスのような首都圏や政令指定都市のクラブは、人口が多いというアドバンテージがある一方、プロ野球を含むさまざまなエンターテイメントと競合しなければならない宿命を背負っている。それでも、三ツ沢にこれだけ多くの観客が訪れて熱気にあふれていたことは(国内のスポーツ情報がリオ五輪に集中していること、そして両チームに現役の日本代表がいないことを考慮すれば)、もっとポジティブにとらえてよいように思う。ももクロには勝てないかもしれないけれど、実のところJリーグは国内のエンターテイメントの中でも、かなり健闘している──そう実感することができた横浜の夜であった。

<この稿、了>

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