「久々に本を出します!」 2年間のブランクを経て思うこと
「あれ、リオには行ってないの?」
Jリーグの取材現場に行くと、時おり先輩同業者からこのように声をかけられる。そのたびに「いやあ、五輪はいつもTV桟敷でと決めていますので」と答えている。謙遜でもなんでもなく、五輪という大会に対してはずっとそういうスタンスであった。加えて今年の8月は、日本のメダルラッシュに半ば背を向けるようにして、自室で執筆に没頭する日々が続いている。かねてより準備していた書籍の執筆が、いよいよ本格始動したからだ。
今回の書籍のメインテーマは「社会人サッカー」である。07年に『股旅フットボール』(東邦出版)を上梓して以降も、私はJ2以下のアンダーカテゴリーで活動する地方クラブの取材を続けていた。最初の頃は『股旅』で取材したクラブの「その後」を見届けたいという想いがあったが、そのうちに「あえてJを目指さない」企業チームや、新たに地域リーグからJを目指す新興クラブなど、私の興味対象は年を追うごとに広がっていった。
その一方で『股旅』から続いていた「1年に1冊」という目標は、13年に『蹴球百景』を出したのを最後に途切れ、結果として2年間のブランクを作ることとなった。理由はいろいろあったのだが、メールマガジンの執筆と配信に忙殺されてきたのが大きかった。もちろん月4本のメルマガ配信にはやりがいを感じていたが、目先の仕事ばかりに時間と労力を投入することへの漠然とした不安と限界も感じていたのも事実。その間、ブックライターであることへの自負は、ずっと私の中でくすぶり続けていた。
今回の書籍の企画を『フットボール批評』の森哲也編集長にプレゼンしたのは、今年の1月13日のことである。幸い、企画はすんなりと通ったのだが(版元となるカンゼンから『松本山雅劇場』を出しているという実績も考慮されたのだろう)、3月を過ぎたあたりから急ブレーキがかかる。Jリーグの開幕に代表戦、そして大学の講義にウェブマガジンの準備なども重なり、またしても書籍に注力する時間の確保が難しくなってしまった。結果、世の中がリオ五輪の話題でもちきりになるこの時期まで、当企画はずっとペンディング状態が続くこととなったのである。
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