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霞が関も注目? 水戸ホーリーホックの成長戦略を探る 黄川田賢司(水戸ホーリーホック国際事業企画マネージャー)インタビュー<2/2>

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■ベトナム語版のFacebookアカウントを立ち上げる

――さて、ベトナム航空をスポンサーにするというのは、これまでの水戸のイメージを覆すような野心的な試みだったわけですが、この他にもさまざまなチャレンジを始めているそうですね。いくつか教えていただけますでしょうか。

黄川田 今までやっていなかったようなプロモーションの手法を、今年からチャレンジするようになりましたね。例えばユニフォームの背中にベトナム航空が入ったときには、コンフォンがユニフォームを見てびっくりしている3秒間の動画をSNSで事前に流しました。twitterでもかなりRTされましたし、ベトナムでは「これはもしかしたらコンフォンがスタメン出場か?」という憶測も流れたりもしました。

――もともと水戸はSNSを活用していたんでしょうか?

黄川田 やっているんですが、ベトナム語版のFacebookアカウントを立ち上げる必要があったので、とある東京の企業に協力してもらうことになりました。ベトナム語は特殊な言語ですから、どうしてもアウトソーシングする必要があります。ですので、こちらで出したニュースをすぐに送って、ベトナム語に翻訳してもらってアップするという仕組みをすでに構築しています。

――記事と写真を送ったら、すぐにベトナム語に翻訳されているんですね。こちらのアカウントは何人くらいが登録されているんでしょうか?

黄川田 「いいね!」の数でいうと4050件ぐらいですね。

――もともとコンフォン自身も、SNSのフォロワーがすごいですしね。

黄川田 確か160万人くらいいますよね。本当は彼のFacebookにして記事を上げるのが一番話題になるんですけど、それは管理上こちらではコントロールできないんですよね。

――なるほど。現在、Jクラブで外国語版のSNSで発信しているところはありますか?

黄川田 ACLに出ているようなところはやっていますね。

――J2ではちょっと聞かないですよね。

黄川田 セレッソ大阪が海外向けのSNS発信に積極的ですよね。あとは、つい先月ぐらいに横浜FCがベトナム語版を立ち上げたみたいです。(参照)

――「ベトナムのピルロ」ことグエン・トゥアン・アインがいますからね。ただし横浜FCの広報も人数が限られていますから、やはりアウトソーシングしているんでしょうか?

黄川田 どうでしょうね。水戸もそうですが、J2クラブですと、広報の人数も少ないしマンパワーにも限りがあるので、これまで攻めのPRがなかなかできていなかったというのはあります。

――水戸の広報は何人いるんですか?

黄川田 少数精鋭です。広報部というのはなくて、事業部の中に広報担当がいる形なんですよ。僕がこのプロジェクトを始めるにあたっては「広報が一番のキーになる。君たちの仕事でクラブの価値も大きく変わるくらい大事なポジションだから、よろしく頼むよ」と伝えました。こちらのいろんな要望に対して頑張って応えてくれていますね。

――なるほど。それにしても、こういったSNSによるPRにクラブが投資することって、ある程度理解がないとゴーサインが出ないと思うんですよね。

黄川田 確かに難しさはありますね。そういう意味では水戸は理解を示してくれていますが、保守的だったり、カテゴリーが下のクラブだったりすると「ウチは金がない」「そんなところに人材は割けない」で終わりですからね。僕もそうした事情は重々承知していますから、いかに費用対効果があるのかということを理解してもらい、それをどう結果につなげていくかという部分を注力するようにしています。

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