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『サポルト! 木更津女子サポ応援記』に託したもの 高田桂(漫画家・イラストレーター)インタビュー<2/2>

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■きっかけはバレーボールの「東京ダービー」

――高田さんは「イラストレーター、漫画家」という肩書ですけど、この世界を志したのはいつ頃ですか。

高田 大学の時ですかね。小学校の頃から漠然と憧れはあって、と紙があれば絵を描いていたような気がします。

――影響を受けた漫画作品は?

高田 スポーツ漫画というくくりでいくと、小林まことさんの『柔道部物語』、ハロルド作石さんの『ストッパー毒島』、あとは田中誠さんの『実録!関東昭和軍』ですね。

――わりとリアルに描くという方向ですか?

高田 そうですね。実は僕、中学から大学までずっとバレーボール部にいたんですけど、バレーの強豪校って坊主頭が当たり前だったんです。今は少なくなっていますけど(笑)。僕が高校でやっていた頃は、まだリベロもなかったし、サーブ権があったし、部活で殴られたりするのも当たり前でした。前時代的で「嫌だな」と思う反面、坊主頭で揃いのジャージを着た強豪バレー部に憧れもありました。『柔道部物語』も、登場人物全員が坊主頭で、そういうところにリアリティを感じて夢中になった部分もありましたね。逆に、色とりどりの長髪が出てくるスポーツ漫画は、今でもちょっと水が合わないです。

――漫画家デビューはいつですか?

高田 読み切りが初めて商業誌に載ったのが、たぶん2005年くらいですね。『銀輪の海』という自転車の漫画でした。ただし、いろいろ紆余曲折もあって、一度は漫画を諦めて就職した時代もありました。コンスタントに仕事があるのは、本当にここ数年の話です。

――サッカーというか、ヴェルディとの接点というのは、どのタイミングでしたか?

高田 これもきっかけはバレーボールなんですよ。東京ヴェルディにバレーチームがあって、FC東京のバレーチームと「東京ダービー」があると聞いたので、面白そうだから行ってみたんです。僕はいわゆる「ニッポン・チャチャチャ」みたいなバレーの応援が好きじゃなかったんですが、東京ダービーの応援は体育館で太鼓を鳴らすような、まさにサッカーの応援だったんです。「これは面白い!」と思って、味スタにも行くようになりました。

――なるほど。08年にはJ1で東京ダービーがありましたが、高田さんがFC東京でなくヴェルディのほうにシンパシーを感じた理由は何だったのでしょうか?

高田 不思議ですよね。もともと関西住みだったので「東京憎し」だったし(笑)、阪神ファンだったのでアンチ巨人でした。それなのに、同じ読売だったヴェルディを応援しているんですから。ただFC東京については、今さら3万人いる中に混ざってもつまらないし、何だか勝ち馬に乗るのも癪だというのはありました。あと、弱い阪神を応援していた経験から、なかなか勝てないヴェルディにのめり込んだというのはあると思います。

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