宇都宮徹壱ウェブマガジン

長谷部の不在を新たな議論の契機に 「不動のキャプテン」の後継者を考える

 3月20日より、ワールドカップ・アジア最終予選の取材でUAEのアル・アインに来ている。考えてみれば中東に来るのは、3次予選のシリア戦(@オマーン)とイランとの親善試合が行われた15年10月以来のこと。加えて海外取材は( いろいろあって)今年に入ってから初めてである。20日の現地の気温は日中で33度。東京とは20度も違う。取材している側もそうなのだから、選手もさぞかしアウエーの環境順応に苦慮していることだろう。

 そんな中、合流したばかりのキャプテン、長谷部誠のチーム離脱がJFAより発表された。その日行われた、当人のミックスゾーンでの言葉から引用する。

(怪我の)箇所としては右膝ですね。バイエルン戦でクリアした際にゴールポストにぶつかって、その時の痛みに頭がいっていた。そこを6針縫って、木曜日にチームと練習をしたんですけど、40~50%くらいの力しか出せない状態でした。金曜日の朝にMRIを撮って、それで状態が発覚したんですけど、チームと代表のメディカルスタッフ、そして監督とも相談して、今回の苦渋の決断に至りました。最終的な決断は日本でしますけど、状況でいえば膝にメスを入れる可能性はかなり高いと思います。

 長谷部がドイツから直接帰国せず、いったんUAEに立ち寄ったのは、もちろん理由があってのことだ。まず(本人が語るとおり)、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督と代表のドクターのセカンド・オピニオンを得ること、またチームメイトに謝罪と激励をしたいという想いもあっただろう。そして当人が「悔しい気持ちもありますし、割り切れていない部分もあります」と語っていることから、自分自身の心境を落ち着かせたいという想いもあったはずだ。いずれにせよ、責任感の強い長谷部らしい決断と行動だったと思う。そんな彼の決断を受けて、「長谷部不在の日本代表」について、しばし考えてみたい。

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