宇都宮徹壱ウェブマガジン

いわきFCが人工芝グラウンドをフル活用する理由 地域に喜ばれ、クラブにお金が落ちる絶妙な構図とは?

『徹壱の日記』にも書いたとおり、先週末は2泊3日でいわきFCを現地取材してきた。「真実は現場にある」というのが私のモットーだが、今回のいわき取材は、このクラブが単に「フィジカル重視」だけではない、さまざまな試みを実践していることを確認できた。取材の成果は、来月上旬に発売される『フットボール批評』に掲載予定だが、そのプロモーションを兼ねてYahoo!個人ではこのような原稿を書いた。本稿では、彼らが練習と試合で使用している、いわきFCフィールドについて記すことにしたい。

 いわきFCフィールドがオープンしたのは、昨年11月20日のこと。ちなみに、商業施設複合型クラブハウス、いわきFCパークが完成したのが今年の7月15日であった。いわきFCパークの3階にはカフェがあり、テラスからは人工芝のピッチが一望できる。まるでヨーロッパのクラブハウスでも訪れたような気分になること請け合いだ。人工芝は、イタリアのLimonta Sport社のものを使用。特徴は、天然芝のようなしっとりとした質感があり、ゴムチップの代わりに天然ヤシの実のチップを使用していることだ。

 人工芝のゴムチップについては最近、発がん性の疑いがあることが指摘されており(これについては諸説ある)、気温が上がるとゴムチップも加熱することが弱点とされていた。ところがLimonta Sport社の製品は、それらのリスクが一切ないという優れもの。日本ではまだ主流となっていないが、大倉智社長いわく「ミランやアヤックスも使っているくらい向こうでは有名」なのだそうだ。人工芝のメリットは、言うまでもなく手入れが簡便であることだが、その特徴をクラブがフル活用している、というのが本稿の本題である。

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