【無料公開】特別座談会「スタンド目線で語る20年前の歓喜」 サポーターはジョホールバルで何を見たのか?<1/2>
成田宏紀氏提供
■シンガポールからの国境越えで一苦労
――というわけで、皆さん何とか休みと航空券を確保しました。試合当日にシンガポールに到着したのは大場さんだけで、あとの皆さんは前日入りということでしょうか?
成田 そうですね。シンガポール観光がセットされているツアーだったので、土産物屋に連れていかれた記憶があります。
住吉 あと、夜の街に繰り出して飲みに行きました。20人くらいのツアーだったんですけど、部屋が同じだったりバスの席が隣だったりで、すぐに仲良くなりましたね。
成田 僕と石井くんは同室だったんですよ。
――そのあたりのエピソードは、石井さんを主人公にした『サッカーボールの音が聞こえる』にも出てきましたよね。山根さんは試合前日、どう過ごされていたんですか?
山根 シンガポールについて、とにかく試合のチケットを持っていなかったから、友だちと一緒に探していたんです。そうしたら、日系の旅行会社でジョホールバルまでバスで往復する観戦ツアーというのがあって、チケットが残り2枚というので慌ててゲットしました。
――値段は覚えています?
山根 覚えてないけど、特に高かった記憶はないですね。
成田 僕らのツアーは11万5000円でした。1泊3日で、JALの臨時便でしたね。
大場 私のチケットは名古屋からの往復で3万円だったんですが、もしかしたらそのおこぼれだったかもしれないですね。普段、そんなのは出ないですから。
――大場さんは個人旅行だったので、シンガポールからジョホールバルまではタクシーでしたか?
大場 そうなんですけど、国境を越えるのがすごく大変でした。国境の手前の橋で降ろされて、そこからマレーシア側のタクシーに乗り換えなければならないんですね、通貨が違うので。だから国境を越えてから、マレーシアのリンギットを持っていないので、タクシーに乗れない日本人がけっこういたんですよ。
――両替所はなかったんですか?
大場 だって当日は日曜日ですよ。ジョホールバルは空港があるような大きな街ではないから、日曜もやっている両替所はなかったし、当時はATMで現地通貨を引き出すのもできなかったんじゃないですかね。幸い私は、去年クアラルンプールに行っていたので、その時に余ったリンギットをけっこう持っていたんですよ。ですから、何人かを一緒に乗せて差し上げましたね(笑)。
山根 私は観光バスであの橋を渡っているんですけど、その前に全員降ろされてパスポートチェックがあるんですよ。でも窓口が2つしかなかったので、1時間以上は並ばされました。試合が終わってマレーシアから出国する時は、「どうぞどうぞ」っていう感じでチェックはすんなり終わりましたけど。
石井 それにしても、あの国境の橋は長かったですよね。
大場 長かったです。小走りで渡ったんですけど、当時は貧血気味だったので、本当に倒れるかと思いました(苦笑)。