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「最後になるかもしれない」ワールドカップ 宇都宮徹壱WMの2018年を考える<後篇>

 年が明けた元日、実に興味深いインタビュー記事を見つけた。1973年の大ベストセラー『ノストラダムスの大予言』の著者である、五島勉氏のインタビュー記事だ(参照)。「1999年に人類は滅亡する」としたこの本は、おりからのオカルトブームや終末ブームに見事にハマり(小松左京の『日本沈没』が発表されたのも同じ年である)、公称100万部を記録。当然ながらその影響力は、決して小さいものではなかった。

 今年で88歳になる五島氏は、インタビューの中で「まさかこんなに子どもたちが読むとは思わなかった」とした上で、予言を信じて絶望的になったかつての子供たちに「謝りたい」としている。それについてのSNSでの対応が、これまた興味深い(反応したのは私と同世代くらいと思われる)。「今さら謝って済む問題じゃない!」と怒る人もいれば、「当時は怖かったけれど、今となっては楽しい思い出」と許容する人もいて、だいたい半々くらいという印象であった。

 私自身、小学生時分にこの本を読んで、がっつり信じてしまったクチではある。もちろん大人になって、それなりの常識を身につけてからは予言の内容を胡散臭く感じるようになったが、さりとて無邪気に21世紀を展望できずにいた(未来に希望を持てない若者というのは、何も最近になって出てきたわけではない)。そんな私が、初めて「21世紀」というものを明確にイメージさせてくれたのが、2002年のワールドカップだった。

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