宇都宮徹壱ウェブマガジン

写真で振り返る川崎フロンターレ激闘史 「番記者・エトーに酒を飲ませる会」より<1/2>

 今週は、昨年12月に東京・高円寺のスポーツ居酒屋KITEN!で開催されたイベント、『川崎優勝記念 番記者・エトーに酒を飲ませる会』の模様をお送りすることにしたい。

 このイベントは、川崎フロンターレが初タイトルを獲得するまで禁酒を宣言していた川崎の番記者、江藤高志さんに酒を飲ませてお祝いするという、実にシンプルなものである。『川崎フットボールアディクト』、そして当WMとの共同開催ということもあり、イベントの前売券は早々に完売。当日は多くの川崎サポーターにも集まっていただき、さらにはゲストとしてアナウンサーの下田恒幸さん、そしてジャーナリストのショーン・キャロルさんにもご参加いただいて、大盛況のうちに終了した。

 今回は禁酒明けの乾杯の模様と、下田さんを交えて2005年以降の川崎の歴史を写真とともに振り返る、イベントの第1部の内容をコンテンツ化した。本稿の4枚目以降の写真はすべて、長年にわたり川崎を取材してきた江藤さん本人が撮影したものであることを、あらかじめお断りしておく。古くからのサポには感慨深く、最近ファンになった人には新鮮な驚きと発見があるはずだ。

 最後に、急きょ決行となったイベントを快く引き受けていただいたKITEN!さん、そして本稿執筆にご協力いただいた江藤さんと下田さんには、この場を借りて御礼を申し上げたい。(2017年12月13日収録)

<目次>

*川崎のJ1優勝で1337日ぶりの酒解禁

*ガンバ大阪の優勝を見せつけられた05年

*06年のふろん太は今と比べて不細工?

*多摩川クラシコに「乗り気でなかった」FC東京

*等々力の大改修と麻生グラウンドの拡張

*優勝が決まった時、番記者エトーは泣いたのか?

■川崎のJ1優勝で1337日ぶりの酒解禁

――ということで江藤さん、あらためて川崎フロンターレの初タイトル獲得、おめでとうございます。それにしてもなぜ「川崎がタイトルを獲るまで禁酒する」と宣言したのでしょう? それまであんなに飲んでいたのに(笑)。

江藤 内情を暴露しますと、胃が痛くなってドクターストップがあったんですね。それで2週間ぐらい禁酒して「これなら止められるかな」と。でも、ただ禁酒を続けるだけではつまらないので、何か名目があればいいかなということで「じゃあ(川崎が)タイトルが獲れるまででいいかな」と。

――けっこう軽い気持ちでスタートしたんですね(笑)。わりとすぐにタイトルに手が届くと思っていました?

江藤 まあ、13年が3位で風間(八宏)さんのサッカーが浸透しつつあったので「14年くらいになれば獲れるだろう」と。そうしたら結局、3年半かかってしまいました(苦笑)。

――しかも、こんな劇的な幕切れだとは。

江藤 ねえ、本当に。ただ「お花畑理論」なんですけど、前の年の監督が頑張った次のシーズンに鹿島系の監督が来ると好成績を収めるという法則があるんです。石さん(石崎信弘)の後の関さん(関塚隆)とかね。それでいくと、風間さんのあとに鹿島系の鬼木達さん、アリだなと思ったんですよ。そしたら、まんまと当たりましたよね。

――なるほど、すごいですね。そんな江藤さんを祝福するべく、今日は素敵なゲストをお招きしております。スカパー!やDAZNのJリーグ中継でもおなじみ。フリーアナウンサーの下田恒幸さんです! 

<会場、拍手>

――さっそくですが下田さん、最終節はどちらにいらしたんでしょうか?

下田 僕は優勝する可能性が最も高かったチームの試合ですね。

――裏の鹿島アントラーズ対ジュビロ磐田の試合ですね?

下田 いやいや、こっちが表(笑)。川崎対大宮(アルディージャ)のほうが裏。放送の頭でちょっと触れましたが、やっぱりかつてはナショナルダービーと言われたカードなんですよね。なので、磐田サポーターからは「絶対、鹿島に優勝させないぞ」っていう空気を感じました。結局、植田(直通)のゴールが認められなかったあたりから、空気が変わりましたよね。

――あのゴールが認められていたら、小林悠がいくらゴールを重ねてもタイトルには届かず、江藤さんの禁酒は来年以降に持ち越されることになったわけですからね。結局、禁酒はトータル何日だったんでしょうか?

江藤 ちゃんと数えたら1337日でした。

――1337日ぶりの禁酒解禁を記念して、今日は八海山を小さな樽に入れて用意しました。しかもプロのアナウンサーの方もいらしていますので、下田さんに実況をお願いすることになりました(笑)。

下田 なんでもアナウンサーが実況すると思うなよ(笑)。

江藤 すいません、本当にすいません!

――まあ、一生に一度のことですので、さっそくですがお願いします!

下田 (気を取り直して)いよいよ優勝が決まりました、川崎フロンターレ。何度2位になったことか! 何度悔しい思いをしたことか! そして江藤高志、2014年4月16日、高を括って禁酒をしたものの、勝てない。2位はあるけど勝てない! 去年にいたってはリーグ戦と天皇杯が2位! 今年のルヴァンカップも勝つと思ったら、またしても2位だった。ところがどっこい、ついに逆転でタイトルを獲得し、1337日ぶりにいよいよお酒を飲める日がやってまいりました。ここに用意されましたのは八海山。さあ果たして、どの角度からこの樽に穴を開けるのか? 引かれても崩す、それが風間サッカー、鬼木サッカーの神髄とするのであれば、この樽はちゃんと壊れるのか?

(残り 2501文字/全文: 4704文字)

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