宇都宮徹壱ウェブマガジン

ポドルスキはどれだけ売上に貢献したのか? 関西Jクラブ、グッズ担当座談会<1/4>

 Jリーグの新シーズン開幕まで、あと2週間。そろそろ皆さんのお手元にも、今季のユニフォームが届いている頃だろう。そのユニフォーム、発注から納品まで、どのようなプロセスを経て作られたのか、皆さんは想像したことはあるだろうか。あるいは、ひとりひとりのファンやサポーターの手元に商品が届くまで、キリキリと胃が痛くなるような思いをしている人々がいることをご存じだろうか? ユニフォームのみならず、皆さんの観戦アイテムの多くを手がけているのが、各クラブの「グッズ担当」と呼ばれる人々である。

 今回は2週にわたって、Jクラブのグッズ担当の座談会をお届けすることにしたい。ご出演いただくのはガンバ大阪の小森誠之さん、セレッソ大阪の浅田力さん、ヴィッセル神戸の黒川佳津予さん、そして京都サンガF.C.の西山佑樹さんと吉田侑樹さんの5人である(皆さんの肩書はクラブによって異なるが、ここでは便宜上「グッズ担当」で統一する)。今回、関西のJクラブにフォーカスしたのは、関東に比べて担当者間のコミュニケーションが密で、意見交換がしやすいという利点があったからだ。

 周知のとおりプロフットボールクラブの仕事というのは多岐にわたっている。われわれ取材者がよく接するのは、広報だったり、強化だったり、運営だったり。他にも営業だったり、ホームタウンだったり、スクールだったり、チケットだったり、ひと口で「クラブの仕事」と言ってもさまざまな職種がある。そんな中、J1クラブなら億単位の売上を出しているのに、なかなかスポットライトを浴びる機会がないのが、このグッズ担当。しかも事情通に言わせると「グッズ担当はクラブ内での地位が決して高くない」のだそうだ。

 ではなぜグッズ担当という仕事は、クラブ内で評価されにくいのか。また、彼らは普段どういう仕事をしていて、どういうパーソナリティの持ち主なのか。知っているようで意外と知られていない、Jクラブのグッズ担当。彼らの本音に迫ることで、その奥深い世界観を皆さんと共有していくことにしたい。なお今回の座談会は、ガンバ大阪の小森さんがまとめ役となっていただいて実現した。この場を借りて御礼を申し上げたい。(取材日:2017年12月22日@大阪)

<目次>

*グッズ担当になったそれぞれの理由

*グッズの売上から見た2017年のJリーグ

*「クラブが違うから」と意識することはない

*「それでもサッカーに関わる仕事なので」

*グッズ担当の地位は高いか低いか?

*「ぼちぼちグッズ以外の部署も行ってみたい」

前列左から、黒川、浅田、吉田、後列左から小森、西山の各氏

■グッズ担当になったそれぞれの理由

──本日はお集まりいただき、ありがとうございました。人数も多いので、まずはお名前と所属クラブ、そしてグッズ担当歴などを教えていただきたいと思います。今回のまとめ役でもある、ガンバの小森さんからお願いします。

小森(G) ガンバ大阪の小森です。大学を卒業して新卒のタイミングでは、まったくサッカーとは関係ないITシステム関連の会社で3年くらい営業をやっていました。その後、Jリーグエンタープライズというグッズを製作している会社に移りまして、最初は来場履歴をチェックするワンタッチパスのプロジェクトに関わりました。その後、5~6年くらいJリーグでグッズの仕事をしていたんですが、地元の大阪に戻りたいと思っていたところでガンバに転職しました。現職になって丸2年です。

──続いて今回の紅一点ですね。ヴィッセル神戸の黒川さん、お願いします。

黒川(V) 黒川です。昨年までは関東の某Jクラブにおりまして、今年移籍してきました(笑)。あちらでは1年だけチケット担当した以外、ずっとグッズ担当でしたので、のべ7年くらいグッズの仕事をしています。

──グッズ担当の移籍って、珍しいんじゃないですか?

黒川(V) 決して頻繁ではないと思います。今はエセ関西弁でのりきっています。もともと出身は横浜で、今年から初めてのひとり暮らしを満喫中です(笑)。

──次はセレッソの浅田さん、お願いします。

浅田(C) セレッソ大阪のグッズをやっています、浅田です。2010年からセレッソに入りまして、それまでは広告関連の営業をやっていました。セレッソに来てからも最初はスポンサー営業担当、次にホームタウン担当になって、13年からはグッズ担当をやっています。

──13年からということは、今年で5年ですよね。わりと長いほうですか?

浅田(C) いやあ、もっと長い人もいますからね。展示会なんかでお会いする、他のクラブのグッズ担当の方も、僕より長い人のほうが多いです。

──なるほど。京都からはおふたりですね。まず吉田さん、お願いします。

吉田(S) 京都サンガの吉田です。私はもともとプレーヤーで、大学時代にサンガのホームゲームの記録員のバイトをしていました。その後は、サンガでスクールコーチをやっていたんですが、もっとクラブに関わる仕事がしたいと思って相談したら、「グッズのバイトならある」と教えてもらったんです。ちょうど大学を卒業するタイミングでしたので、まずはバイトでグッズ担当をやらせていただいて、それから2年後に社員として働くようになりました。

──つまり、バイトからの叩き上げというわけですね?

吉田(S) そうなりますね。社員歴だと6年ですが、バイトは2010年からなのでトータルで8年。基本的にずっとグッズ一筋です。

──そして京都からもうひとり、西山さんです。

吉田(S) 私から見て上司と言うか。先輩と言うか。

西山(S) サンガの西山です。私は08年からグッズ担当で入って、商品管理をやっている期間もあったんですけど、かれこれ10年グッズに携わっています。

──吉田さんがバイトだった時代から、ずっとコンビを組んでいたわけですね?

西山(S) そうですね。去年から肩書き上は上司になったんですが(笑)、それまでは先輩後輩という感じでした。

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