宇都宮徹壱ウェブマガジン

日本代表の欧州遠征は「失敗」だったのか? WMフォトギャラリー<リエージュ篇1/2>

 今週は予告どおり、ベルギーはリエージュにて行われた、日本代表の欧州遠征の模様をフォトギャラリー形式でお送りする。代表戦はいつも記者席からの取材なので、試合中の写真はないが、トレーニングの様子や現地の風物を交えながら、リエージュでの日々を再現することにしたい。

 さて、今回のマリ戦とウクライナ戦は、受験生にとっての「模擬試験」と考えると理解しやすい。模試の結果、今の学力では志望校に合格できないことが判明した。しかし、偏差値30から難関大学に合格した例だってある。そう、今の日本代表をめぐる状況は、まさに『ビリギャル』と同じ。ゆえに目下、求められるのは、限られた期間内で偏差値を40上げるノウハウを持った指導者なのである。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、少なくともそうした実績を持つ指導者であり、だからこそ三顧の礼をもってJFAに迎えられたはずである。確かに、試合自体は残念な結果に終わった。それでも今回の欧州遠征そのものの是非については、もう少し注意深く検証する必要があるだろう。

 今回の取材地であるリエージュには、どのように向かうべきか? リエージュには空港はあるものの、接続を考えるとフランクフルト国際空港から鉄道でアクセスするのがベターと判断した。途中、ケルンの街並みを眺めていると、12年前のワールドカップの記憶が甦ってくる。

 およそ2時間の列車の旅でリエージュ=ギユマン駅に到着。鋼鉄とガラス、そしてコンクリートで作られたモダンな駅舎は「ヨーロッパで最も美しい」とも言われているそうだ。人々が話している言葉はフランス語だが、インフォメーションセンターは英語が通じて少し安堵する。

 駅からリエージュの街並みを俯瞰する。ベルギーは、北部のフランデレン地域ではオランダ語が、南部のワロン地域ではフランス語が話されている。リエージュはワロン地域を代表する工業地帯で、人口は20万人弱。この小さな街で、これから8日間にわたり取材することになる。

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