宇都宮徹壱ウェブマガジン

「欧州と日本をつなげるメディアでありたい」 浅野賀一(footballista編集長)インタビュー<2/2>

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創刊当初は「エル・ゴラッソに近かった」

──先ほどから「ブランディング」という言葉がキーワードになっていますが、footballistaのブランディングは浅野さん主導でやっているんですか? それとも外部からのアドバイスがあるんでしょうか?

浅野 footballista全体のブランディングというか方向性は、僕が考えています。ウェブは外部コンサルの方にも協力してもらっていますが。いずれにせよ、日本のサッカーメディアは全体的に後ろ向きになっているじゃないですか。その状態が続くと、ぜんぜん楽しそうには見えないから、業界の外側から「一緒に何かやりましょう!」という声がかかりにくくなると思うんですよ。

──なるほど。そういえば最近のfootballistaの表紙って、いい意味で「サッカーサッカーしていない」ですよね。むしろピッチの内側だけでなく、欧州サッカーのトレンドを巧みに切り取ったものが多いように感じるのですが、そこも意識されていることでしょうか?

浅野 実際、最近の欧州サッカーって、ピッチ内外で本当に急速にいろんなものが変化していて、それが本当に面白いなって僕も常々思っていたんです。先ほど話題に出てきた「ポジショナルプレー」や「5レーン」の理論といったものは、ピッチ内での典型的な最近の変化ですけど、そういったものをどんどん日本サッカーに紹介していきたい。

 あるいはウチで特集した「ゼロ円移籍」の話もそうですよね。いい悪いという話ではなく、ヨーロッパがものすごくビジネスライクでやっている中、日本も向こうが移籍についてどう考えているかを知っておかないと、損をするだけなんですよね。そういった情報は、どんどん意図して前面に押し出そうとしています。

──とはいえ、単純に現地からの記事の翻訳でなく、日本在住のライターを間に挟んで「咀嚼する」ことも意識的にやられていますよね。

浅野 そうですね。たとえば川端(暁彦)さんと『バル・フットボリスタ』っていう企画をやっていて、そこでゼロ円移籍の記事を取り上げた時、見出しに「Jリーグ」を付けたら、普段Jを観ているサポーターによく読まれましたね。あるいは西部(謙司)さんの『戦術的リストランテ』でJリーグを取り上げたら、これもわりと好評でした。

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