宇都宮徹壱ウェブマガジン

「結果」でなく「願望」としてのユナイテッド 旅の中で感じた「福島をひとつに」する難しさ

 人によっては9連休となった今年のGW、皆さんはいかがお過ごしであっただろうか。『徹壱の日記』にも書いたとおり、わが家は連休後半に2泊3日で福島旅行を楽しんできた。福島を選んだ理由は、いわき市にあるアクアマリンふくしまでオランダのキネティックアーティスト、テオ・ヤンセンの作品展示があったこと。さらに、5月3日には福島ユナイテッドFC(以下、ユナイテッド)のホームゲームもあったので「それなら福島といわきをぐるっと巡ってみよう!」という旅程となった。

 個人的には、この2年ほどいわきFCの取材を続けていた反動で、最近のユナイテッドの動向をキャッチアップしておきたいという思いもあった。私がこのクラブを初めて取材したのは、2010年の全社と地域決勝。まだ東北リーグ1部で活動していた時代である。その後、11年の震災を契機に現地取材を敢行し、その年と翌12年の地域決勝も取材。悲願のJFL昇格の瞬間も見届けている。取材の成果は、2年前に上梓した『サッカーおくのほそ道』にも収録され、以下のように結んでいる。

 いずれにせよ、このクラブを「美談」で語る時代はもう終わった。震災の記憶が次第に薄れていく中、ユナイテッドもまた「普通のクラブ」となってゆくことだろう。

「3・11」以降、クラブのフロントも、選手も、そしてサポーターも、あまりにも多くのものを背負いすぎた。今後は「普通のクラブ」として、より地域に根ざし、地域にとって無くてはならない存在となることを願うばかりである。

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