宇都宮徹壱ウェブマガジン

なぜ「F」の復刻版ユニフォームは見送られたのか? Jリーグ25周年記念での「大人の事情」を推理する

 8月は死者を想い、歴史について考えることが多い月である。8月6日、8月9日、そして8月15日──。そんな中、われわれサッカーファンには、7年前から「8月4日」が新たに加わることになった。そう、元日本代表の松田直樹さんの命日である。もちろん松田さんの以前も以後も、元日本代表の「突然の訃報」というものはないわけではなかった。それでも、横浜F・マリノスと松本山雅FCでの活躍に加え、スケール感の大きなキャラクターとドラマティックな人生ゆえに、「8月4日」の記憶は7年を経た今でも色褪せることなく鮮烈である。

 さて、Jリーグオンラインショップにて「ありがとうJリーグ25周年記念 復刻記念グッズ特集」がリリースされたのは、8月2日のことであった。1993年にJリーグが開幕して今年で25年。とりわけオリジナル10のサポーターは、四半世紀前の懐かしいデザインに往時の記憶を重ねたことだろう。図らずも「Jリーグの歴史について考える」貴重な機会となったわけだが、やがてある種の違和感を覚えた方も少なくなかったはずだ。

 まずクラブ名。「東京ヴェルディ」も「横浜F・マリノス」も(さらに言えば「ジェフユナイテッド千葉」も「名古屋グランパス」も)開幕当時の名称とは異なる。次にエンブレム。サンフレッチェ広島、ガンバ大阪、清水エスパルスは、93年当時ではなく現在のものを使用。逆に浦和レッズは「三菱」、名古屋は「グランパスくん」があしらわれており、こちらは93年当時のデザインを踏襲している。このように、いろいろ疑問を感じる「復刻記念グッズ」だが、最も違和感を覚えたのは「横浜フリューゲルスがないこと」──これに尽きる。実際、私の周りの元フリエサポの間でも、この件でちょっとした騒ぎになった。

(残り 1504文字/全文: 2237文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ