かーねる流「働き方改革」がガイナーレ鳥取を変える! 高島祐亮(株式会社SC鳥取経営企画本部長)<2/2>
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■「地方だから」というのは言い訳にならない
──IT化の流れで言えば、今年はガイナーレの公式サイトのリニューアルで陣頭指揮を執られていました。もともとあったサイトに関して、かーねるさんはどのあたりに問題を感じていたんでしょうか?
高島 まず、今の時代にスマホ対応になっていなかったこと。入り口がPCかガラケーしかなかったんですね。しかも更新作業のツールのシステムが、もうアップデートされないものだったので、だったら新しいものを最初から作ったほうがいいだろうと。幸い、そのための共通基盤はJリーグのほうで作ってくれていたので、それを利用すればクラブからの持ち出しは最小限で済みます。
──なるほど。リニューアルは外注ですか?
高島 クラブとしてのディレクションは僕ひとりでやりました。あとは東京と宮崎と鹿児島にいるエンジニアとディレクターでチームを作って、僕は鳥取からリモートで指示を出していました。
──すごい! というか、そういうのが当たり前の時代なんですね。
高島 前職でも、ベトナムでオフショア開発をしていたので「できるな」って思いました。実質的な作業は3カ月くらいですかね。できてしまうんですよ、それで。ですから、これからは「地方だから」というのは言い訳にならないですよね。
──確かに。で、リニューアルしたことで、どんな変化を感じられます?
高島 業務効率は格段に上がりましたね。試合情報なんかでも、スタメンとかテキスト速報は自動で入ってきますし。それ以前はスタッフが速報を手入力して、それが終わったら会見を起こして、それをモバイルにコピペして、ということを夜中までやっていたわけですよ。そうした作業から解放されれば、もっと集客に結び付けられる仕事にリソースを回すことができるわけです。
──やはりITがわかっている人がいるのといないのとでは大違いですね。
高島 だからといって、安易にコンサルタントを入れてしまうと、さらにぐちゃぐちゃになる恐れもあります。なぜかというと、「最新」とか「次世代」といった流行りものを導入したがる人がいるからです(苦笑)。ちゃんとその組織や地域にアジャストするものを考えて、提案していく必要があると思います。たとえば鳥取県の場合、スマホの普及率は60%後半から70%くらい。全国でもかなり下なんですね。
──お年寄りが多いからですかね。
高島 それもあると思います。しかもスマホからのネット利用は、50%を切っているんですよ。共働きが多いこともあって、ネットへの接触時間は必然的に少なくなっているんですね。そういう地域なので、最新のアプリを導入したとしても20%にも届かない。いくらIT化を主張したところで、やはりマーケットの現実を踏まえながら優先順位を見極めないといけないんですね。
──いちいち頷くばかりです(苦笑)。
高島 スポーツビジネスの会合とか、都内のビジネススクールなんかだと、地域の現実を知らないで「このアプリを使えばチケットレス」みたいな話がよく出てくるんですよ。でも、それを地方でやったら、たぶんアウトだと思っています(笑)。紙に対する安心感って、一方で間違いなくあるんですよ。そこを理解せず、新しいものばかりを押し付けるのはよくないと思います。
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